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プロローグ
そこは深い闇に包まれた場所だった。
その場所にある二つの影は何かを話している。
「いいか。絶対にあれがこの大陸にあるはずだ。何としてでも探し出せ」
その言葉を発したのは大きな巨体であり、その存在に触れると闇の中に引きずり込まれそうになるような雰囲気を持ち合わしていた。その男と話しているのは、ローブを全身に纏ったこれまた闇を思わせるような人物であった。ローブの男は巨体の男に対し、頭を下げながら返事を返した。
「御意。すでに忍び込み探索を開始しております。見つかるのも時間の問題かと……」
「油断はするなよ。我らの存在をまだ奴らにバレる訳にはいかないからな」
「承知しております」
ローブの男が言い終わると、巨体の男はうなずき、そのまま闇の中に消えていった。
その場所に残されたのはローブの男だけで、周りにはすでに何者の気配もない。その中にいたローブの男もまた、呟きを残し闇へと消え去っていった。
「全ては我らの主のために」
と……。