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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第一章 英雄くんはおうちに帰りたい
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第87話 発熱

「本当に出たな、熱」

「ええ、それも温度まで完璧ね。自分の健康状態を完璧に把握している証拠ですわ」


 あれから急いでオウサマとテレーゼに熱が出そうだと相談したノンは午後の予定を全て白紙に戻して自室のベッドへと潜り込みました。いきなり『熱出そうだから休むね』と言われた二人は首を傾げるばかりですが、それから数十分後に本当に熱が出始めたため、驚いてしまいます。更に温度までピッタリ当ててしまうほどの精度の高さに二人の驚きは拍車をかけました。


「まぁ、慣れてるからね……ちょっと寒いから掛け布団追加できる?」

「ええ、もちろんよ。ちょっと待ってね……ふんッ! ぐぬぬ!」

「お前の体では無理だと何故、わからない……」

「あはは……」


 前世では毎日のように熱を出していたため、すっかりノンは発熱に慣れていました。だからこそ、感覚で発熱を察し、事前に準備を済ませることができたのです。


 それは家にいた時も同じです。子供であるノンは何もしていなくても熱を出してしまう時がありました。ノンにとって発熱は隣人のようなもの。熱が出たからといって慌てることもせず、淡々とエフィにその事実を伝えました。


 ――あ、ああ! ノン、熱! 熱が! ルー! ルーはどこ!?


 しかし、それを聞いて熱を測ったエフィが火事でも起きたのかと思ってしまうほど動揺してしまったのです。ルーを呼びにノンを抱き上げて家中を探し回るほどであり、熱を出した子供を抱っこしながら騒ぐなとルーに怒られて無事に騒動は終息しました。


 今、思えば『魔漏症候群』を患っている子供が体調を崩したら慌てるだろうとエフィの気持ちもわかるため、もう少し伝え方を工夫すればよかったと反省しています。


「本当に寝てるだけでいいの? 元気になるお花を咲かせた方が……」

「今、花魔法の魔力を浴びたら倒れちゃいそうだからやめてね」

「なら、私が氷を作ろう。そうすれば熱もすぐに」

「あ、そんなに大きな氷はいらないです。頭が潰れます」


 発熱した時は栄養のあるものを食べ、水分をしっかり取り、眠って体を休ませる。催したらトイレに行って老廃物を外へ出す。それが発熱を治す一番の特効薬だとノンは知っているため、過剰な看病をしようとする二人を冷静に止めました。きっと、冷静を装っていますがオウサマもテレーゼも慌てているのでしょう。


「ふぅ……とりあえず、これぐらいなら一日寝てたら治るよ。多分、ちょっと頑張りすぎちゃったみたい」

「……そうか。わかった。また夜中に様子を見に来るから安心して眠るといい」


 発熱特有の体のダルさにより、ため息を吐いてしまった彼はそれを誤魔化すようにそう言います。しかし、オウサマはこれ以上、ここで騒ぐとノンの負担になるとわかったのでしょう。そう告げた後、テレーゼの首根っこを掴んで部屋を出ていきました。


「……寝よう」


 一人になってしまった部屋でノンは呟くように言葉を零し、目を閉じます。ですが、どうしてでしょうか。眠るにはうるさかったはずなのに、今では先ほどの騒がしさを恋しく思っている彼がいました。

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