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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第一章 英雄くんはおうちに帰りたい
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第85話 感知

 ノンが精霊の国に来て早二か月。すでにテレーゼとの再会も済ませた彼は今日も元気に旅に出る準備を進めています。


「よし、文字に関しては合格点だろう。あとは計算だが……やる必要あるか? ほとんど完璧じゃないか。どこで習った?」

「え、あ、あはは……色々あって?」


 前世の話はできないので適当に誤魔化します。そんなノンにこの二か月ですっかり慣れてしまったのか、オウサマは呆れたようにため息を吐きました。


「まぁ、別にできる分には構わないんだがな……さて、次は何を教えようか」


 文字、計算は終わってしまったので彼女はカリキュラムの内容に悩み始めてしまいます。ノンもこれほど早く異世界の言語を習得してしまうとは思っていませんでした。


「あ、なら、魔力に関して学びたいです」


 少しだけ考えた後、思いついたのは魔力のことです。しかし、それを聞いたオウサマはキョトンとしてしまいました。


「魔力だと? すでに魔力操作や魔力循環をマスターしているのにか?」

「はい、特に魔力感知はもっと使えるようになりたいです。魔法の無効化(ジャミング)の精度に繋がりますし、旅に出たら索敵にも使えますから」

「なるほど……それは一理あるな。魔力感知なら座りながらでもできる。早速やってみよう」


 そう言ってオウサマは周りに魔力を細かく放出します。今の彼ではそこに漂っていることはわかるものの密度が薄い状態だとはっきりと捉えることはできませんでした。


「これから私の周りに水球を順番に作っていく。その個数と順番を当てろ」

「あー……これはちょっと苦労しそうですね」


 オウサマの考えた練習方法はノンにとって最も必要としていた魔力感知の精度を高めるものでした。


 しかし、彼の魔力感知は魔力循環の副産物として手に入れた技術です。その精度を高める方法はまだ思いついていません。


「まぁ、とにかくやってみろ。目を閉じて深呼吸だ」

「は、はい……」


 オウサマに言われるままに目を閉じるノン。そのまま深く呼吸を続け、意識を微かに感じる彼女の魔力へ集中させます。


(……ん?)


 どれほど経ったでしょうか? 僅かにしか感じなかった魔力ですが、その一部の雰囲気が変わりました。例えるならひんやりとしていた空気がほんの少しだけ暖かくなったような微かな変化。


「……」


 最初は気のせいかと思いましたが、そんな変化が二つ、三つと続きました。もしかしたらこれが魔法へと形を変える瞬間なのかもしれません。


「……五つです」

「……目を開けてみろ」


 変化する前の魔力がなくなり、彼は小さな声で答えを告げます。数秒ほど黙っていたオウサマですが、目を開けるように指示を出しました。


「……六つ、ですか。外れですね」


 ノンは目を開けて答えを見ますがオウサマも周囲に浮かんでいた水球は六つ。どうやら、外してしまったようです。


「残念だったな。だが、心配するほど精度が低いわけではない。このままこれを続けて最終的に正解できれば完璧だ」

「はい、頑張ります!」


 こうして、新しくノンは魔力感知の練習をすることになりました。

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