第78話 干渉
「そんなことより! わたくしの魔法を吹き飛ばしたあれはなんですの!?」
「そうだな。最初にも試していたようだし、偶然ではないだろう」
その時、魔法を無効化されたことを思い出したテレーゼはノンへと詰め寄りました。オウサマも気になっていたのでしょう。彼女もノンへと視線を向けます。
「あー、できるかなーって思ってやってみたらできました」
「だから、どうやってやったのか聞いてるんですの! 魔法の無効化なんて武器の強化ぐらいしか思いつかないもの!」
早く話せとぺちぺち頬を叩いてくるテレーゼに苦笑を浮かべるノン。しかし、ノンの言うとおり、原理はそこまで難しいものではなりません。
魔法は形を形成する前に魔力を放出し、それを術式として組み上げる、という工程があります。ノンの場合、魔力を放出することができないため、魔法を使えません。
彼が注目したのは放出した魔力を術式として組み上げるというプロセス。その術式に向かって高密度の魔力をぶつけたらどうなるか、と考えて試してみた結果が魔法の無効化だったのです。
「なるほど、包帯そのものに高密度の魔力を込めて組み上げている最中の術式に干渉し、破壊する……だが、魔力は目に見えないだろう?」
「僕もちょっとだけ魔力感知ができるのでその部分にえいやって」
「そんな簡単に言わないでくださる? 最初に失敗した時だって術式が一瞬だけ歪んだからとっても驚いたのよ? 最後は包帯が球状に膨張したと思ったら魔力が吹き飛んだし……」
「あ、やっぱり……包帯だと干渉範囲が狭すぎて上手くいかなかったんです。だから、包帯で球を作って一気に膨らませてみました」
ただの思いつきが上手くいって嬉しそうに笑うノンでしたが、オウサマとテレーゼは顔を見合わせてしまいます。
「ねぇ……あなたから見てノンくん、魔力循環は使ってまして?」
「いや、ほとんど使ってないな。まだ練習段階だから最初から使うつもりはなかったんだろう」
「じゃあ、あれに肉体強化も加わるのね……この子、完全な魔法使い殺しになりますわ」
魔力循環による肉体強化。どこまで追ってくる変幻自在な包帯。そして、魔法の無効化。
肉体強化によって近接戦はお手の物。遠距離は包帯でカバーし、魔法を使おうとしたら無効化されてしまう。きっと、彼と戦う魔法使いは何もできず、一方的にやられてしまうでしょう。
「あ、今度は硬質化させた包帯を鋭くさせて物が切れないか試してみようかな?」
「……どうしてでしょう、あれだけ人間の国を旅するのは無謀だと思ってたのに今ではノンくんならできそうだって思えてきましたわ」
「ああ、私もだ」
模擬戦を経て色々と試したことができたのでしょうか。あれやこれやとアイディアが浮かんでいる様子のノンを見て彼女たちは苦笑を浮かべました。
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