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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第一章 英雄くんはおうちに帰りたい
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第48話 勉強

 精霊たちに誕生日をお祝いしてもらった次の日、すっかり元通りになった彼女の部屋でノンは少しだけ緊張した様子で席に座っていました。


「待たせたな。相変わらず、あやつらはお前のことが大好きでたまらないらしい」


 少しだけ疲れた様子で部屋に戻ってきたのはこの部屋の主である青髪の人型精霊、オウサマです。今朝もオウサマの部屋に来る途中で精霊たちを引っ付けてきた彼から強引に彼らを引き剥がし、外へ追い出していました。この調子では毎朝の恒例行事になりそうです。


「では、早速、今日から午前と午後に分けて勉強会を開く……ということでいいんだな?」

「はい、お願いします!」


 オウサマたちのおかげで考え方が少しだけ変わった影響でしょうか。ノンはオウサマに追加でお願いをしていました。それは彼女が言ったように一日に勉強会を二回ほど開く、というものです。


「午前は文字や計算などの反復練習が必要なもの。午後は世界情勢や魔力などの常識を昨日のような会話ベースで共有する……確かに文字の習得には時間がかかる。だが、無理はしていないか?」


 オウサマが準備している方法が成功しても、失敗してもいずれノンはこの国を出て家に帰るつもりです。もしかしたら明日にこの国を出る可能性だってある。そのため、余裕がある時に少しでもこの世界のことを学んでおきたかったのです。


 ですが、オウサマが彼を心配する気持ちもわかります。だからこそ、家族に会いたい一心で無茶なことをしていないか、体を壊さないか、彼女はノンの顔色を伺いながら問いかけました。



「はい、大丈夫(・・・)です」

「……わかった。これ以上は何も言わない」


 ノンの言葉に嘘はないとわかったのでしょう、オウサマはコクリと頷くと彼に少しだけ大きな板を渡します。少しだけ緑がかった黒い板。それを彼は見たことがありました。


「この板は目には見えないが表面に凹凸があってな。この棒を擦ると押し当てた部分が削れてその軌跡が残る。そして、このスポンジで拭えば綺麗に落ちる。文字の練習をするのに適した道具だ」


 そう言いながら白い棒を手に取ったオウサマがノンの持つ板に押し付けて、軽く横へずらします。すると、白い線が引かれました。更にすぐに柔らかいスポンジで線を拭えば白い線は消えてしまいます。


(黒板とチョーク!?)


 そう、それは前世で使ったことのある道具――黒板とチョークでした。スポンジは黒板消しの代わりでしょう。昨日の鉛筆といい、この世界には前世で見たことのある道具がちらほらと見受けられます。


「この、道具の名前はなんですか?」

「これか? これはな――」


 少しだけ震えた声で問いかけるとオウサマはこれらの道具の名称を口にします。当たり前ですが、『黒板』や『チョーク』といった日本語ではありませんでした。


「では、黒板とチョークを使って文字の練習をする。ひと段落したら次は計算だ」

「はい! お願いします!」


 精霊の国、滞在三日目。ノンは家に帰るため、その第一歩を踏み出したのです。

黒板やチョークなど現地人が地球の言葉を使っているように見えますが

きちんと皆さん、黒板やチョークの言葉を異世界語で話していますのでご了承ください。

今後も同じようなことが起きると思いますが異世界語をわかりやすいようにしているだけなので

よろしくお願いします。


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