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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第一章 英雄くんはおうちに帰りたい
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第46話 不調

 いつの間に眠っていたらしいノンは呼び出しに応じ、彼女と共にオウサマの部屋を目指します。


(でも、なんで呼び出されたのかな?)


 彼は今でも日の傾きによってだいたいの現在時刻や経過時間を割り出すことができます。眠っていた時間は思った以上に長かったようですが、それでも夕食には少し早いような気がしました。


「ふっふっふ、少し準備に時間はかかったが私なりに自信がある。楽しみにしておくがいい」


 なにより、隣を歩くオウサマは非常にご機嫌な様子であり、出会って二日しか経っていませんがこれほど楽しそうにしている彼女を見るのは初めてです。


「準備? 楽しみ?」


 ですが、呼び出された理由に心当たりのない彼からしてみればキョトンとしてしまうのも無理はありません。思わず、立ち止まって首を傾げました。


「……ん?」


 立ち止まったせいでしょうか。オウサマもその場で足を止め、少し後ろにいるノンを振り返ります。彼女も『どうしてキョトンとしている?』と言わんばかりに首を傾げていました。


「……もしや、忘れたのか?」

「忘れた? 何をです?」

「……まぁ、家に帰られなくなったのだから忘れてしまうのも無理はないか。いや、むしろ、好都合。早く私の部屋へ行こう」


 何かを忘れているノンを見て更にうきうきし始めたオウサマは軽い足取りで先に進みます。慌ててノンも彼女の後を追いました。


「よし、着いたぞ」


 ノンの部屋とオウサマの部屋はさほど離れていませんのでそれからすぐに大きな扉の前に到着します。ですが、オウサマはすぐに入ろうとせず、彼の方を見ました。


「じゃあ、開けてくれ。扉は魔法で軽くしてあるからお前一人でも大丈夫だ」

「え、あ、はい……」


 彼女の言葉にノンは素直に頷いて扉を開けます。そして、目の前に広がった光景に言葉を失いました。


「部屋が……」


 今朝まで普通だったオウサマの部屋が明らかに広くなっているのです。また、部屋の真ん中には朝食を食べた時よりも大きなテーブルが用意されており、綺麗な蝋燭台や食器が用意されていました。壁にもいかにもパーティーが始まる、といったような飾り付けがされています。


『のんー!』

『おめでとー!』

『おいわいー!』

『ありがとー!』


 ですが、それ以上に驚いたのが部屋の中にはこの国にいる精霊全員が集結し、各々がノンをお祝いし始めましたことです。彼らは自分のことのように喜び、飾りつけにぶつからないように飛び回っていました。


「これ、は……」

「……驚いているようだな」


 そんな光景を前に茫然としていると後ろからしてやったりと言わんばかりの声音でオウサマが声をかけてきます。振り返れば彼女は悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべていました。


「これでも気づかないか……昨日の夜といい、まだ調子が悪いのだろう」

「えっと……何のことでしょうか?」

「お前自身が言っていたではないか。昨日は五歳の誕生日前日だと」

「……あ!?」


 彼が精霊の国に来ることになったきっかけ。それはノンの五歳の誕生日です。昨日、エフィに誕生日プレゼントのことを聞かれ、『外に出たい』と願った。それが全ての始まりです。


 そう、それは誕生日前日の出来事。それから一夜明けた今日こそ、ノンの五歳の誕生日でした。


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