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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第一章 英雄くんはおうちに帰りたい
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第45話 静寂

「……」


 朝食を終えた彼は自室へと戻り、ベッドに横になっていました。視線の先には茶色い天井。特に思考を巡らせるわけでもなく、ただぼーっとそれを眺めていました。


 精霊たちはノンと遊びたそうにしていましたがオウサマが彼らを連れて行ってしまい、一人で部屋にいるしかなくなったのです。


(あ、そういえば……)


 寝ている時以外、この国に来て初めて一人になりました。この国……いえ、大木は精霊たちがいることでそれなりに騒がしいのですが、逆に彼らがいなければ不気味なほど静かになります。


 家ではエフィかルーがいつもいました。休みの日であればジェードも加わり、静かだと思うことはベッドの中に入った時ぐらいです。


「……」


 体を起こし、ベッドから降りた彼は窓から外を眺めました。大木の最上階にある部屋なので窓からの眺めは絶景です。残念ながら広大な森とその奥に見える山々しか見えませんが。


(瞬間移動したらこの景色も変わるのかな)


 そんなことを考えながらしばらく景色を見ていましたがそれにも飽きてしまい、再びベッドへダイブ。そして、また天井を眺めます。


(魔力循環、か……)


 何も考えていなかった先ほどとは違い、彼は唯一の趣味といっていい魔力循環のことを頭に思い浮かべました。


 魔力循環は体の奥底にある魔力の根幹から流れを変え、体中に魔力を循環させるもの。最初の頃は循環どころではなく、少しだけ魔力を動かす、魔力操作をしていましたが慣れた頃からぐるぐる回した方が練習になると気づいたのです。


 そして、それにすら慣れ、今では無意識で魔力循環をできるほどになりました。


「ホントかなぁ」


 そこまで考えて彼は思わず、ボソリと呟きました。この技術がオウサマは役に立つ。そう言っていたのです。彼にとって魔力循環はただの趣味。今では魔法が使えなくなってしまった要因だと知って余計に彼女の言葉を信じられずにいました。


「……」


 オウサマから魔力循環によって魔法が使えなくなったと聞き、ノンは魔力循環を止めようとしました。しかし、今日、起きた時点で無意識に魔力を循環させていることに気づいたのです。最早、魔力循環は趣味ではなく、生活の一部になったのでしょう。


 それにわざと魔力循環を止めたらどうも体に違和感を覚えるようになっていることもあり、オウサマから詳しい話を聞くまでこれまで通り、魔力循環は続けてもいい、そう思えました。


(それにまだ色々と試せそうなんだよね)


 魔力操作は魔力を動かして体の一部に集中させる技術。


 魔力循環は魔力を体中に循環させる技術。


 では、魔力操作と魔力循環を合わせる――つまり、魔力を循環させながら体の一部に魔力を集中させたらどうなるのでしょう。何かあったら困るのでオウサマに意見を聞いてから試すつもりですが、少しだけわくわくしてしまいます。どうやら、ノンは気になることを自分なりに検証して結果を導く、という行為が好きなようです。もしかしたら、前世で事故に遭わず、元気に過ごしていれば実験や検証を繰り返すような仕事をしていたのかもしれません。


「ノン、待たせたな。準備ができたから私の部屋に来てほしい」

「……あれ?」


 そんなことを考えていたらいつの間に眠っていたらしく、オウサマの声で目を覚ましました。

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