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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第一章 英雄くんはおうちに帰りたい
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第41話 精霊石

「まず、精霊がお前のような子供をこの国に連れてきてしまう理由についてだ」

「っ……」


 精霊講座が始まった矢先、ノンがこの国に来ることになった原因についてオウサマは説明を始めました。ノンも少しだけ息を呑んで彼女の言葉に耳を傾けます。


「精霊は仲間意識が高い。こうやって、大木にたくさんの精霊がいるのもその一つだ。流れもいるが、大半の精霊がこの大木に住み着いている」

「そうだったんですね……家の庭にいた子たちも流れですか?」

「いや、あやつらはこの大木に住んでいる精霊だ。そうでなければ、ここに連れて来ない」


 オウサマの言葉にノンは首を傾げました。あの精霊たちが大木に住んでいるというのならなおさらノンの家の庭にいた理由がわからなかったからです。


「実は大木を中心としたこの森は定期的に場所を移す」

「場所を、移す?」

「ああ、森ごと瞬間移動するんだ」

「……へ?」


 森が瞬間移動する。その言葉を理解するのに数秒ほど必要でした。昨日、歩いただけでも大木の周囲を囲っている森はとても深く、広大であることは何となく察しています。そんな森が瞬間移動するとは信じられません。


「昔、精霊と友人関係を結んだ魔法使いがそんな術式を組んだらしい。あの頃、精霊は狩られる対象だったから友を守るために仕掛けを施したそうだ」

「精霊を、狩る?」

「精霊石目的でな。お前は見たことはないか?」


 彼女の言葉で思い出すのは家のトイレやコンロに付いていた綺麗な石でした。確かに魔力を流すだけで水や火を起こす石は貴重そうですが、それが原因で精霊が狩られていたとは思いませんでした。


「そもそも、精霊石ってなんですか?」

「精霊石は精霊が時間をかけて作り出す宝石のことだ。精霊は魔力を貯めこむ習性があり、貯めこみすぎた時に排出される」

「……」


 それはつまり、人間でいう排泄物――いえ、考えるのはよしましょう。あくまで貯めこんだ魔力で作られた宝石です。それ以上でも、それ以下でもありません。


「だが、貯めこみすぎた時以外にも作ることは可能だ。私たちにとっては不要なものでも、魔道具の一部に使用するなど他の種族からしたら喉から手が出るほど貴重なものらしいからな」

「それは、確かに……」

「だから、昔は精霊を捕まえ、強制的に精霊石を作らせていたそうだ。今では考えられんがな」


 オウサマはそう言いながら肩をすくめます。本当に昔のことなのでしょう。


 ですが、当時は魔法使いが森ごと瞬間移動させなければならないほど酷い扱いを受けていたのも事実。ノンは今の話を心に深く刻み込みました。そんな悲劇を繰り返さないためにこの森のことは誰にも話さない方がいい、と。


「話をまとめると昔、精霊を助けるために魔法使いがこの森を定期的に瞬間移動させるようになった。そのおかげで精霊たちが捕まることはぐっと減ったが、それと同時に森から出てしまった精霊がその場に置いてけぼりにされるようになった。あやつらは自由気ままに飛ぶせいでそれなりに起こる上、数が多いからどうしてもいなくなったことに気づくまで時間がかかるんだ」

「ぁ……」


 つまり、家の庭にいた精霊たちも森が瞬間移動する時、外に出ていた子たちなのでしょう。どれほど森から離れていたか不明ですが、あの庭で偶然、ノンと出会ったのです。

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