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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第一章 英雄くんはおうちに帰りたい
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第40話 予定

「ん……」


 小鳥のさえずりが鼓膜を揺らし、ノンは自然と目を覚ましました。体を起こし、そっと窓の外を見れば青い空が広がっています。


(ああ、家じゃなかったんだ)


 見慣れない光景に少しだけ首を傾げた後、ここが自分の家ではなく、精霊の国にある客室であることを思い出しました。


「楽しかったなぁ」


 あれから大泣きしてしまった後、落ち着いたノンはオウサマと一緒に精霊たちに食事を楽しみました。そして、少しだけですが精霊たちと遊び――そこから記憶がありません。もしかしたら、寝落ちしてしまったのかもしれません。


(オウサマにお礼を言わないと)


 きっと、この部屋まで運んでくれたのは彼女でしょう。そう考えながら簡単に身支度を済ませ、いつものように神様に祈りを捧げます。


「……よし」


 これで朝のルーティーンは終わり。今日は何をするかわかりませんがひとまず、オウサマの部屋へと向かいます。その途中、数体の精霊と出会い、『おはよー』と挨拶をかわしました。


「……で、短い距離でそれだけの精霊を連れて来れるんだ」

「あ、あはは……」


 そして、気づけば彼の後ろには凄まじい数の精霊が踊り狂っていました。彼が泣いた原因が自分たちにあると自覚していながらノンがこの場にいることは嬉しいのでしょう。


「はぁ……お前たち、目障りだから外に出ていろ」


『やだー!』

『おうぼーだー!』

『いっしょにいるー!』


「話が終わった後ならノンは自由だ。その時、一緒に遊んでと頼めばいい。むしろ、ここで駄々をこねると遊ぶ時間がなくな――本当にあやつらは……」


 そう言い終わる前に精霊たちは部屋から姿を消しました。そんな彼らにオウサマは深いため息を吐き、手で小さな椅子を指さして座るように促します。ノンも素直に従って椅子に腰かけました。


「さて、昨日はよく眠れたか?」

「はい、おかげさまで……昨日はありがとうございました。ベッドに運んでくれたんですよね?」

「ああ、色々あって疲れたんだろう。無理はしていないか?」

「はい、大丈夫です」

「ああ、それならいい。なにかあったら遠慮なく言え」


 ノンの顔色を見ていたのでしょう。彼女はその言葉を特に疑うことなく、頷きました。実際、昨日、大泣きしたおかげで気持ちの整理ができたので今の彼は落ち着いています。むしろ、オウサマや精霊たちがいれば大丈夫だろうと安心しているほどでした。


「さて、今後の予定だが……色々手は打ってある」

「おー」

「だが、どれも少し時間がかかるようでな。それまで自由にしてくれて構わない。あ、申し訳ないがこの大木から出るのはあまりお勧めしないぞ。森の中には少ないが獣がいるからな。精霊が傍にいなければ襲われてしまう」


 彼女の言葉に森の中を歩いた時のことを思い出しました。特に獣の気配は感じませんでしたが精霊が近くにいたおかげだったのでしょう。


「まぁ、あやつらなら勝手についていきそうではあるがな」

「あー、確かに……どうして、あんなに好かれてるんでしょう? 特別、何かしたってわけじゃないのに」


 ふと不思議に思ったことを口にします。精霊たちは家の庭で会った時から友好的でした。ですが、ノンが精霊と会ったのはあの時は初めてであり、好かれる理由がありません。


「それは……そうだな。では、少しだけ精霊について話そう」

「はい、お願いします」


 こうして、オウサマによる精霊講座が始まったのでした。

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