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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第五章 英雄くんは獣人たちと和解したい
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第367話 繋がり

「いっつ……」

「全く、怪我してたなら早く言いなさいよ」

「ごめんなさーい」


 日が昇った後、グレイクたちと交代する形で客室に戻ったノンとアレッサですがその途中で彼女はノンが背中を痛めていることに気づきました。どうやら、無意識に背中を庇うような歩き方をしていたらしく、そのまま手当をするために彼女の部屋に連れ込まれたのです。


「……」


 しかし、会話らしい会話はそれだけで終わり、背中の手当てをする中、二人の口数は少なく、部屋は静寂に包まれます。きっと、二人とも昨夜の襲撃のことを考えているのでしょう。


「……師匠」

「んー?」

「……あの砲撃、誰が撃ったと思いますか?」

「魔族でしょうね」


 我慢できずにアレッサへ問いかけたノンですが、彼女はその問いに即答します。もちろん、彼もアレッサなら誤魔化すことなく、断言するだろうと予想していたので驚きませんでした。


「すごかったですね」

「ええ、そうね」


 少しでも掠っただけで船が大破するほどの砲撃。それをほぼ間髪を空けずに十二発。なんとか防げましたがあのまま砲撃を続けられていたら盾の修復が間に合わなくなり、ノンたちは死んでいたでしょう。


「……でも、私はもうこれ以上の襲撃はないと思うわ」

「え?」


 少しの沈黙の後、アレッサは自分の考えを口にします。予想外の答えにノンは思わず後ろを振り返ってしまいました。


「どんな事情があったかわからないけど……敵は途中で砲撃を止めた。限界が来た、とは考えにくいから意図的に止めたことになるわ」

「そう、ですね」

「つまり、敵には私たちを生かしておく理由がある。もしくはあの瞬間にできた」

「……」

「まぁ、あくまで予想でしかないから今この瞬間に砲撃をぶっ放してくる可能性もあるけど」


 『はい、おしまい』と手当てを終えたアレッサが優しくノンの小さな背中を撫でます。彼もお礼を言った後、いそいそと脱いでいた服を着ました。


「とにかく私が言いたいのはこっちから手を出せないから警戒しておくことしかできないってこと。あの感じだと魔力感知の範囲外から攻撃してきたんでしょ?」

「はい、範囲内に入った時点で砲撃の速度は十分なほど出ていたと思います」


 魔法を放つ時、放った瞬間よりも放ってから少し時間が経ってからの方が速度は出ます。つまり、敵はノンの魔力感知の範囲外で魔法を放ち、範囲内に入った時に速度が出ている状態にした。


「じゃあ、やっぱりノンの魔力感知の広さを知ってるわけね。王都近くですでに闇ギルドに知られてる情報だからあまり驚かないけど……これではっきりしたのは魔族と闇ギルドは繋がってるってこと」

「はい、それは間違いありません」


 ブレッドを騙した魔道具商人は闇ギルドの一員。それから獣人誘拐を企て、数年にも渡って船を動かし続けていました。ブレッドの話ではその間、旅客船は一度も魔族に襲われたことはないそうです。


 そして、ノンたちが事件を解決するためにケレスカ大陸に向かっている最中、邪魔するように魔族が襲ってきた。きっと、ノンたちがハーニンド大陸側の闇ギルドを取り押さえたことは闇ギルドにばれており、魔族に伝わったのでしょう。


「相変わらず何を考えてるかわからないけど……もし、砲撃が飛んできたら私も防ぐわ」

「え、でも……」


 アレッサが使う喧嘩殺法(ステゴロ)魔法は接近戦特化型。砲撃を防ぐためにはその拳を直接、魔法に叩き込む必要があります。威力も規模も大きいあの砲撃をアレッサであっても防げるとは思えません。


「まぁ、私にも奥の手はあるわ。何度も、は厳しいけどグレイクと交代する形なら数発ぐらい何とかしてみせる」

「師匠……」

「ほら、今はとにかく体を休めましょ。あなたが防御の要なんだからしっかり寝なさいよ」

「……はい!」


 励ますようにノンの頭を撫でたアレッサ。そんな彼女にノンは笑った後、自室へと戻り、仮眠を取るためにベッドへと倒れ込みます。そして、意識を手放すまで不思議と不安な気持ちはなく、すんなりと眠りにつきました。

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