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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第五章 英雄くんは獣人たちと和解したい
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第349話 ひと段落

 船、洞窟、砂浜の闇ギルド組員を無効化したノンたちは後処理を済ませ、上町にあるブレッドの屋敷に集まりました。時刻はすでに日付が変わり、下町の祭りも終わって全員、寝静まっています。


「はぁ……やっと終わった」


 ドサリと応接室のソファに腰掛けたアレッサは疲れた様子で背もたれに背中を預けながら天井を見上げます。彼女は洞窟の制圧が終わった後、ノンの仕事が終わるまでその場で待機するしかなく、数時間ほど暇を持て余すことになりました。


「お疲れ様です。はい、どうぞ」

「ありがとー」

「……」


 そんな彼女にノンはマジックバックから冷たい水が入った水筒を取り出して渡します。そして、いきなりまったりし始めた二人に領主のブレッドはジト目を向けました。


「仮にも闇ギルド相手に戦ったのに緊張とかしなかったのか?」

「もちろん、集中はしてましたけど……魔族と戦うよりかは簡単かな、と」

「私は不意打ちするつもりだったし。真正面から戦うことになってたとしてもあんなチンピラ紛いの相手に負けるわけないって」

「遠くから狙撃するだけだったからな。死体を燃やす作業の方が大変だった」

「……はぁ」


 ノンたちと出会って一週間ほど経つ彼ですが、何となく規格外な冒険者だと思っていましたがその勘は外れていなかったようです。


「グレイクさんの方はともかく、ノン君とアレッサさんが倒した人たちは今、どうしてるんですか?」


 アレッサの対面に座ったミアがノンたちに不安げに問いかけます。ノンたちが戦っている間、アゼラとミアは領主邸に避難していました。もちろん、作戦が始まる直前に上町にいた闇ギルド組員たちはノンたちによって捕縛済みです。


 そのため、敵を倒して制圧することしか知らず、どのような状況なのか気になるのでしょう。因みにアゼラはソファの上でうつらうつらと船を漕いでいました。昼間の間は筋トレや大槌を扱うための基礎訓練をしているため、あまり夜遅くまで起きていられないようです。


「応援に駆け付けた冒険者に任せたわ。今頃、憲兵と一緒に簀巻きにしてるんじゃない?」


 この一週間、アレッサはナーティから最も近い街へ向かい、冒険者ギルドに応援を頼みに行っていました。もちろん、最初は信じてもらえませんでしたがブレッドが用意していた証拠を使い、正面から論破した後、冒険者と憲兵を引きつれて戻ってきたのです。


「闇ギルドの悪事を暴き、その組員たちを根こそぎ確保。これは報酬金が楽しみね」

「……オレの方も殺さない方がよかったか?」


 少しだけわくわくした様子のアレッサにグレイクはどこか申し訳なさそうな表情でそう問いかけました。きっと、彼なら矢の先端を潰すことでノンたちと同様に闇ギルド組員たちを殺さずに制圧できたでしょう。


「別に。あなただって色々思うことがあったんでしょ。やり方は任せるって話し合ったんだから気にすることないわ」

「そうか」


 そんなグレイクにあっけらかんとした態度で気にするなとアレッサは言います。それを聞いた彼はノンの方をチラリと見た後、小さく頷きました。正直、グレイクがしたのは単なる八つ当たりのようなもの。子供のノンの前でそれを見せるのはあまり良く思わなかったのかもしれません。


「さて、まずはお礼を言わせてほしい。闇ギルドの奴らを誰一人逃がすことなく、捕まえられたのは君たちのおかげだ。これで相手に悪事がバレたことを察知させずに動くことができる」


 今回の一件で最も危惧していたのは組員を逃がして情報が相手に伝わることでした。その場合、首謀者は逃走してしまい、また別の場所で暗躍することでしょう。


 なにより、情報が漏れてしまったらブレッドの家族が人質に取られてしまう可能性がありました。それを避けるためには確実に敵を倒す必要があり、三か所同時に制圧することになったのです。


「じゃあ、予定通りに?」

「ああ……住民たちにこのことを全て話す」


 ノンの問いかけにブレッドは静かに頷きます。そして、顔を上げた彼の目には覚悟の色が見えました。

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