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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第五章 英雄くんは獣人たちと和解したい
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第346話 船上

 前月と同様、ナーティの街では住民だけの賑やかな祭りが開かれました。その内容は豪華な食事とお酒、ちょっとした催し物しかない小さな祭りですが住民たちはそれでも笑顔でそれを楽しみ、笑っています。


「……」


 時刻はすでに二十時。子供たちは出店で買った食べ物やおもちゃを持って帰り、祭り会場では大人たちがお酒を飲んで談笑している頃、海上に一隻の旅客船が姿を現しました。


「変わりは?」

「あるわけねーだろ。街の連中は酒盛り。港は酔った奴が海に落ちないようにって理由で封鎖済み。こっちのことなんか誰も見ちゃいねーよ」

「それもそうだな」

「まぁ、まさか自分たちが住んでる街に闇ギルドがいて獣人たちが奴隷商に売られてるとは思わないだろうさ」


 船上で話しているのは獣人誘拐の実行犯、闇ギルドの組員たちです。そう、ノンの推測は正しく、王都の時とは別に立てられた長期的な計画。人間と獣人の仲を裂き、人間の敵を増やすことで魔族が動きやすくするものでした。


「ガルモ国でも問題になってたな。各地で行方不明者が出てるって。かなり広範囲で攫ってたからバレるまでに時間かかったが獣人が人間に宣戦布告するのも時間の問題だ」

「ああ、これで――」

「――これで魔族が有利になる?」

「は?」


 トン、という軽い音と共に可愛らしい子供の声がした途端、男たちの視界が塞がりました。更に口元が何かに覆われ、上手く声を出せなくなってしまいます。


「それじゃ、おやすみなさい」

「~~~~!」


 二人の男は何が起こっているわからないまま、ゆっくりと意識が沈んでいきます。視界と口を塞がれ、混乱している彼らは自分たちの首に白い包帯が巻き付いていることに気づいていませんでした。そのまま窒息による意識の混濁によって気絶してしまいます。


(まずは二人っと)


 闇夜に紛れ、跳躍(ジャンプ)を使って上空から船に侵入したノンは気絶した男たちを物陰まで運び、息をしていることを確認した後、目を閉じました。意識を向けるのは船内の魔力反応。数は多数。大きな旅客船を動かすのにそれなりの人数が必要だからでしょう。


(捕まってる獣人たちは……さすがに場所まではわからないか)


 獣人たちは薬によって意識を失わされており、動けない状態です。また、一か所に集められている可能性が高く、それを目印に獣人たちを探しますが該当する場所が三か所ありました。今からそれらを回る時間はなく、ノンは獣人たちの救助を諦めて船員を少しずつ減らしていく作戦に戻ります。


「……」


 グレイクから教えてもらった気配の消し方を駆使してゆっくりと船内を移動。そして、敵を視認した後、包帯を音もなく近づけて窒息させる。その動きを続けて少しずつ闇ギルドの組員を戦闘不能にしていきます。


 ですが、一気に数を減らしすぎるのもよくありません。現在、この船は崖下にある小さな洞窟へ向かっている最中。船を動かす人がいなくなってしまうと今後の作戦に支障が出てしまうため、ノンは船内にある魔力反応の数を数えながら敵を減らしていきます。


(こんなもんかな)


 ノンが船に潜入したのはすでにナーティの近くまで船が進んでいたところでした。そのため、十人ほど敵を気絶させたところで船が停まります。この船では入り口の小さな洞窟には入れないため、ここから獣人たちを小船に乗せて移動させるとブレッドは言っていました。


 また、その間にこの旅客船は近くの海岸まで移動し、物資を積んだり、船員を交代させて再び、ケレスカ大陸へと出発する。それから二週間ほど海上に進み、ケレスカ大陸に到着した後、誘拐した獣人を乗せてナーティへとんぼ返り。また、二週間かけてナーティに戻る。それを繰り返すことで一か月に一回のペースで獣人を奴隷商に売っているそうです。


(さぁ、ここからが本番だ)


 すでに船に潜入しているノンは仲間からの合図があるまで身を潜めて待機。その時が来るまで彼は魔力反応を観察し、気配を消し続けるのでした。

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