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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第五章 英雄くんは獣人たちと和解したい
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第341話 真相

「この街は主に漁業とケレスカ大陸への運賃や大陸へ行くためにこの街へ訪れた人の宿泊費や食事代などが主な収入源だった。もちろん、あまり余裕はなかったけどそれでも私の父は上手くやっていた」

「父……お父さんですか?」

「ああ、私と違って聡明な人だった。だが、魔族との戦争が始まる少し前に流行病に倒れてそのまま亡くなった」

「あ、すみません……」


 余計なことを言ってしまった罪悪感でノンはすぐに謝りますが何故かブレッドは微笑ましそうに彼を見ていました。


「いいや、気にしないでくれ。父が亡くなったのは悲しかったが魔族との戦争が始まってそれどころではなくなってしまってな。嫌でも気持ちを切り替えるしかなかったんだ」

「……」

「おっと、話が逸れてしまったな。まぁ、父が亡くなった後、私が跡を継いでキャリル家を当主となり、この街の領主となった」


 若くして領主になったのは父の急死が原因だったようです。きっと、彼の父が生きていればもっと父親の傍で経験を積めたでしょう。もしくは未熟な彼の代わりに一時的に別の領主が来ていたかもしれません。


 ですが、魔族との戦争が全てを狂わせたのです。ブレッド本人も自分が領主を務めるのは早いと考えていたでしょう。それでも、なるしかなかった。戦争のせいで人手が足りず、領主の代わりができる人がいなかったのです。


「慣れない業務。住民たちから押し寄せる苦情。回らない資金。極めつけに魔族の襲撃を恐れた国が出した海路の封鎖命令。この街の財政が傾くのは一瞬だった」


 そう語ったブレッドは拳を握りしめました。当時のことを思い出しているのでしょう。しかし、財政を支えていた収入源を失ったのです。彼でなくてもどうすることもできなかった。そう考えるのは自然です。


「このままではこの街は終わる。何か手を……どうにかしなければと考えていた。そんな時、一人の男がこの屋敷を訪れた」

「ッ……」

「その男は魔道具職人だと名乗った。確かに色々な魔道具を持っており、売りたいと言ってきたんだ。もちろん、そんな余裕はないからすぐに断ったよ」


 『そして、こんな提案をしてきた』と天井を仰ぎながら悔やむように言葉を紡ぐブレッド。それが獣人誘拐に繋がる悲劇の始まり。全ての原因。


「新しい魔道具を開発したいから協力して欲しい、と。その代わり、アイディアをくれ、と。この街のためになるような物を作りたい、と。笑って、そう言ったんだ」

「じゃあ……あの、リフトは」

「ああ、私が提案した魔道具だ。住民たちの苦情の中に上町と下町の往復を楽にしてほしい。特に物資を運ぶのが大変だという意見が多かったから。あの男もこの街にしかない名物になる。きっと、このリフトを見に人が来るだろうと言っていた」


 そして、その魔道具職人を名乗る男と共に魔道具制作が始まったそうです。アイディアを出し、街のためになるなら、となけなしの資金を集めて提供した。


「魔道具職人の男が来て約一年。リフトは完成した。住民たちは喜び、すっかり暗くなっていたナーティの街は一気に明るくなった」

「……」

「だが、それを見ながらあの男は言ったんだ。『これで共犯者ですね』と」

「共犯、者?」

「リフトに使用された魔石は迷宮都市から盗まれたものだったんだ。それに加え、開発に使用したお金の大部分が犯罪によって得られたもの。知らなかったとしてもお咎めなしとはならない。何より――」


 続きを話そうとするブレッドですが、口が震えて上手く言葉が出ないようです。ノンも辛抱強く待ち、その時が来ました。


「妻と娘が、人質に取られてしまったんだ」

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