第337話 潜入
皆様、お久しぶりでございます。
リアルの仕事が大変忙しく、勝手ながらお休みさせていただきました。
お知らせできずに申し訳ございません。
本日からこれまでと同様、可能な限り1日3本更新しますので
これからも『英雄くんはおうちに帰りたい』をよろしくお願いいたします。
屋敷の敷地内に侵入したノンは最初に目に魔力を集めて夜目の強化を施します。そして、足音を立てないように屋敷を一周して観察しました。窓の数から三階まであり、部屋数もそれなりにありそうです。魔力感知で中にいる人の位置は把握できますが全ての部屋を探している時間はないでしょう。
また、屋敷にも裏口はなく、中に入るためには正面玄関か、どこかの窓から侵入するしかありません。
幸い、今の季節は初夏。港町なので他の街よりも涼しいかもしれませんが寝苦しい夜もあるでしょう。特に三階の部屋は外から侵入されるとは考えにくく、油断して窓を開けて寝ている人がいるかもしれません。
「お」
ジッと窓を観察していると三階の右端の部屋の窓がほんの僅かに開いていることに気づきました。そっと包帯を伸ばして慎重に窓を動かして子供一人が通り抜けられるまで開けます。
(部屋には……二人。窓が動いても反応位置は変わらないから寝てるのかな)
そう考えながら窓枠に包帯を引っかけたノンは自分の体を持ち上げて件の窓へとやってきました。中を覗けば使用人の寝室なのか、二段ベッドが部屋の両端に設置されており、その中の二つの布団が膨らんでいます。
「……」
窓に当たらないように包帯を操作して室内へ侵入。そのまま扉まで宙を滑るように移動します。そして、扉を開けて使用人の寝室から出ました。
屋敷の内装は派手ではありませんが清掃が行き届いているのか、清潔感があります。領主が獣人たちを攫っている首謀者なら高価な骨董品や絵画などを飾っている印象があったため、ノンは少し首を傾げてしまいました。
(一番可能性が高いのは領主の部屋とか書斎、仕事部屋みたいな場所)
とにかく、今は証拠を見つけることが先決。魔力感知に意識を向けながら彼はゆっくりと屋敷の廊下を歩き始めます。しかし、部屋の作りはどこも同じであり、外からではどの部屋が領主の部屋や書斎なのかわかりません。
「……」
悩んでいたところで状況は変わらない。そう判断したノンはとりあえず、誰もいない部屋に入ってみます。どうやら、客室だったようで大きなベッドやクローゼットなどの家具が置かれていました。
もしかしたら屋敷の案内図のようなものがあるかもしれないと客室を調べてみますがこれといったものはなく、数分ほどで部屋を後にします。そのまま隣の部屋を開けてみますが同じような客室だったため、すぐに扉を閉めました。
(三階は使用人の部屋とか客室が多いのかな)
三階の部屋数は全部で六つ。客室で何かがあった時、すぐに駆け付けられるように使用人の寝室も同じ階にしていると仮定すれば三階は外れの可能性が高いです。
また、一階も窓から侵入されやすいと考えると領主の部屋や書斎があるとは思えません。つまり、ノンが求めるものは二階にある。そう結論付けた彼は近くに見えた階段を降ります。
「ッ……」
ですが、その途中でノンが降りている階段に近づく魔力反応に気づきました。慌てて包帯を天井付近まで伸ばして左右の壁に先端を押し付けます。そして、そのまま自分の体を上に引き上げました。
「ふわぁ……」
ジッと息を潜めているとクラシカルなメイド服を着た女の人が欠伸を噛み殺しながら階段を昇ってきます。そして、三階に辿り着いた後、使用人の寝室へと消えていきました。仕事を終えて寝るところだったのでしょう。
「……ふぅ」
ドキドキと心臓が激しく鼓動する中、ノンは小さく息を吐いた後、階段に降りて二階へと向かいました。
感想、レビュー、ブックマーク、高評価よろしくお願いします!




