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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第五章 英雄くんは獣人たちと和解したい
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第322話 アゼラの成果

 前衛の訓練を受けていたアゼラですが、基本的にアレッサが体力作り、模擬戦の相手をノンが務めていました。グレイクもたまにアドバイスをしていましたがミアの斥候訓練に付き合っていたのでその機会は少なかったのです。


「今のアゼラはどんな調子なんだ?」

「うーん、とりあえず、まだ実戦には出せないかな。体力作りは始めたばかりだし、大槌の扱い方も……まぁ、そこがちょっと、ね」

「なんだ、二週間前の模擬戦の時は上手く扱っていたように見えたが」


 思い出すのはアレッサの上空を跳び越えたあの動き。大槌を振るう勢いと体重の軽さを活かした距離の取り方でした。


「んー……実は大槌使いらしくない動きを覚えちゃったっていうか」

「大槌使いらしくない?」

「一分です」

「何がだ?」


 歯切れの悪いアレッサに首を傾げるグレイクですが、突然ノンがそう言いました。何のことだろうとその真意を問います。


「アゼラの滞空時間です」

「……何を、言っているんだ?」

「大槌を使って宙に浮いてる時間よ。予想以上に腕力が強くて空中で大槌を振ってその遠心力で滞空時間を増やしてるの」


 二週間前の模擬戦の時のように地面に大槌を振るい、宙へと投げ出された後、下から上へと大槌を振り上げることでその遠心力により、アゼラの体が上に持ち上げられるのです。それを繰り返すことで少しの間ではありますが彼は滞空することができました。


「……」


 信じられない。しかし、アレッサとノンがそんな冗談を言う人ではないと知っているため、グレイクは思わず頭を抱えてしまいました。


「それは……どうなんだ? 実用性はあるのか?」

「そうね……あるにはあるし、隙も大きいから多用はしない方がいいっていう感じ?」


 宙にいることで遠距離攻撃を持たない相手は手を出せなくなります。更に滞空時間を稼ぎ、一気に下に向かって大槌を振るうことで重力を味方に付け、威力を上げられるでしょう。


 逆に遠距離攻撃――例えば、魔法を使える相手だと狙い撃ちされてしまう可能性があります。しかし、一度だけノンが滞空しているアゼラに向かって包帯を伸ばした時、それを獣人特有の鋭い感覚で察知して大槌を横に振るい、弾き飛ばしました。もしかしたら魔法も大槌で粉砕してしまうかもしれないため、実戦で使えるかどうかわかるまで多用はしない方がいい、とだけ注意したのです。


「まぁ、自分だけの戦い方を見つけたのならいいだろう。どうして、煮え切らない顔をしている?」

「だって、その大槌の使い方はあくまでアゼラが子供の時にしか使えないもの。体が大きくなれば体重が増えて大槌を振るっただけでは持ち上がらなくなる。今のうちにその戦い方に慣れたら後で苦労するわ」


 アレッサの言葉にグレイクはなるほど、と納得しました。彼にも似たような経験があったからです。


 彼は十五歳の時に冒険者となりました。しかし、まだ成長期であったため、体が成長する度に標準を合わせる感覚が僅かにズレ、思うように目標を射抜けない時があったのです。


「だから、私としては大人になっても困らない戦い方を覚えて欲しいのよね」

「そうだな。ちょっとオレの方でも考えてみる」

「ええ、お願い」


 こうして、ミアの斥候に関する特訓は一区切りし、今度はアゼラの戦い方改善に勤しむことになったのです。

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