第317話 負荷
ノンとアレッサの模擬戦の途中でアレッサの体から魔力を感じ取ったミア。魔法の適性があるかもしれないということで出発を遅らせて調べることになりました。
「ミアが魔法かぁ」
「あ、アゼラ……」
アレッサが調べる準備をしている間、緊張した様子でそれを待つミアにアゼラが話しかけます。その手にはノンが作った大きなダンベル。もちろん、その隣にはノンも立っていました。
「使えたら便利だよな。おれも使えないかなぁ」
「んー、魔力感知ができるのとできないとでは魔法の訓練の効率が変わるから……それに前に宿屋で魔道具に魔力を注いでみたらすぐに倒れちゃったからアゼラはちょっと厳しいかも」
「マジかぁ」
魔道具の使用される魔力量はその魔道具ごとに違います。ですが、アゼラが試した魔道具はそこまで消費量の多くない物でした。そのため、アゼラに魔法適性があったとしても魔力量の少なさのせいで上手く使いこなすのは難しいでしょう。
「私の魔力量ってどれくらいなの?」
「グレイクさんより多いよ」
「へ!?」
ミアも自分のことなのでノンへ質問しますがその答えに変な声を漏らしてしまいました。グレイクは現在、二十七歳。十五歳の時に冒険者になったので十二年ものキャリアを持つベテランです。
『弓矢作成』スキルを使用して戦う彼ですが、実は魔力量自体は獣人にしては多い方ですがその総量はそこまで多くありません。だからこそ、属性弓の連続使用はあまりできず、ここぞというところで使う切り札のような扱いをしています。
そして、ミアは魔法が得意な種族でもないのに魔力量の多い、珍しい子供。ノンも宿屋で魔道具に魔力を注ぐ彼女を何度か見ていましたがあまり疲れた様子を見せていなかったので『もしかして』とは思っていました。
(でも、何も教えてないのに魔力感知ができるようになるなんて……)
ノンが魔力感知を習得したのは体の中にある魔力を感じ取る訓練をしたからです。それも使いこなすのに数年もの歳月を要し、ミアのようにある日突然できるようになったわけではありませんでした。
「村で魔道具に魔力を注いでたって言ってたけどどれくらいの頻度でやってたの?」
「体調が悪い時以外はやってたよ。だから、ほぼ毎日かな。火を起こすために家を回ったり、大物が取れた時、重たい物を持ち上げる魔道具を使うからそれに魔力を注いだり」
「途中で倒れたりしなかった?」
「最初の頃はへとへとになっちゃったけど最近は特に」
「ああ、それで魔力量が増えたんだ」
オウサマから聞いた話ですが獣人は魔力量が少なく、魔道具を使う時にその街や村の中で魔力量の多い人に頼むことがあるそうです。もちろん、魔力量が多いと言ってもそこまで差はないため、余裕がある人が魔力を注ぐ程度の認識でした。
きっと、彼女の村も同じようにミアが魔力量の多い子供だと知ると魔道具に魔力を注いでもらうようにお願いしたのでしょう。ですが、彼女の魔力量は予想以上に多く、頼む頻度がどんどん増えていき、それが負荷となって彼女の魔力量を更に増やすこととなったのです。
「他に何かした?」
「えっと、本で読んだ効率よく魔力を注ぐ方法を試したり……自分でも魔力を注ぎながら色々試行錯誤した、かな。それがちょっと楽しくて自分から魔道具に魔力を注がせてもらったり、しちゃって」
少し恥ずかしかったのか、最後の方はどこか歯切れの悪い話し方になったミア。その彼女の好奇心が魔力操作を鍛えるいいトレーニングになったのでしょう。
「よし、ミア。準備できたからこっちに来て」
ミアの魔力事情を聞き終えたところでアレッサの準備が終わりました。
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