第306話 土蛙
「どんな魔物なの」
蛙の正体が土蛙だとわかったのはいいのですが、蛙の土魔法が激しく、ドームから動けない状態です。この状況を打破するためにノンはミアに問いかけました。
「生態は普通の蛙と変わらないよ。でも、今、泥の弾を放ってるみたいに土魔法が得意な蛙なの。口の中で魔法を発動させて舌を使って高速で撃ち出すって書いてた!」
口の中で魔法を発動。その言葉にノンは少し目を細めました。ノンの魔法の無効化は魔法が形になる前の魔力を込めた包帯を割り込ませて術式そのものを破壊する技術です。ですが、さすがに蛙の口の中に包帯を突っ込めないため、土蛙の魔法を魔法の無効化することはできません。
「弱点とかは?」
「確か火属性に弱かったと思う。表皮が土と同じ成分でできてるから固まるんだって」
「うーん、僕にはできないなぁ」
この場にアレッサがいれば炎の拳を構えて嬉々として殴りに行っていたでしょう。グレイクも『弓矢作成』で火の属性弓を作り、蛙を射抜いて致命傷を与えられる。
しかし、魔法の使えないノンは土蛙の弱点を突けません。それに蛙特有の弾力性のある体は打撃に強く、ノンの攻撃は通りづらいでしょう。
(さて、どうしようかな)
ノンは白い包帯を駆使して様々な攻撃を繰り出せる汎用性の高い戦い方をするタイプです。ですが、逆説的に適切な攻撃方法を思いつかなければ有効打を入れられないとも言えます。
とにかく、今は泥の弾幕をどうにかして白いドームから脱出をしなければなりません。しかし、その後の動きも考えなければ影兎の魔力感知のせいでこちらの動きがばれてまた同じような――。
「……ミア、ちょっと面白いことを思いついたんだけど」
「面白いこと?」
白いドームが泥弾によって揺れる中、ノンが思いついた作戦を伝えると真っ暗で彼女の表情は見えませんが息を呑んだ音がしたので驚いたようです。
「どう?」
「……それならいけるかも。土蛙は茶色い表皮よりもお腹の方が柔らかいから十分、通用すると思う」
ミアのお墨付きも出たことでノンは早速、白い包帯を両手に集めて一つの大きなドリルの形にしました。そして、それを高速回転させて地面に突き立てます。その瞬間、地面が削れ、穴が開きました。
「じゃあ、行ってくるね」
「うん、気を付けて」
ミアに声をかけた後、彼は包帯でできたドリルを操作してどんどん穴を掘っていきます。その間も蛙は泥を吐き続け、白いドームにぶつかる音が頭上で響いていました。
(やっぱり、気づかれてない)
影兎の魔力感知はミアしか補足できず、魔力が漏れない体質のノンは気づかれずに動けるのではないか。それに気づき、地面の下を移動して土蛙に不意打ちを仕掛ける。それがノンの思いついた作戦です。
「……」
魔力感知で土蛙の場所を特定し、真下に到着しました。そして、ドリルを更に大きくして一気に上へ突き出します。ノン自身も地中にいると土砂に押し潰されてしまう可能性があるため、地上へ飛び出す勢いでその場で跳躍しました。
「ッ!?」
ドリルの先端に土蛙に突き刺さる感触が伝わります。更に魔力循環によって向上した腕力に物を言わせてその巨大を持ち上げました。蛙は腹から青い血を流しながらその痛みに絶叫します。
「――――!」
地面から出たノンは白いドームを解きつつ、ミアの傍へと移動しました。そして、土蛙は地面に落ちてそのまま倒れ伏します。その頭の上で影兎がノンを凝視して目をパチクリとしていました。
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