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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第四章 狩人さんは想い人に会いたい
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第301話 生態

「ここがシャドーラビットがいる森だよ」


 ボアレを出て数十分ほど歩いた二人は小さな森の入り口の前に立っていました。ノンは慣れた様子で、ミアは布を外していますがノンの服を掴んで離れようとしません。アゼラと一緒に逃げている間、すぐに身を隠せる森を中心に移動していたそうですが、あれは緊急事態だったからです。普通であれば戦う術を持たない彼女は進んで森の中に入らないでしょう。


「じゃあ、森に入る前にいくつか確認しておきたいことがあるんだ」

「う、うん……」

「まず、さっきも言ったけどミアにはシャドーラビットを見つけて欲しい。その後は僕が何とかするから」

「見つけるって言っても……私にはできないよ」


 すっかり自信を無くしてしまっているのか、ミアは目を伏せて首を横に振りました。しかし、ノンも彼女の自信を取り戻すためとはいえ、無理難題を用意したわけではありません。ミアならできるだろうと判断してこの依頼を選んだのです。


「ミア、シャドーラビットはどんな魔物か知ってる?」

「え、うん。臆病な性格で、基本的に単独で行動してる兎型の魔物だよ」

「そうだね。どんなところに生息してるんだっけ?」

「確か……影がたくさんある場所。でも、洞窟とか完全に日が当たらない場所にはいない。洞窟は真っ暗で最初から影がないから」


 影は日差しが物体に当たることで発生する現象です。そのため、日の当たらない場所には影ができない。シャドーラビットは常に逃げることを考慮して活動しているため、逃げ場のない場所には住み着きません。


「やっぱり、ミアは物知りだね。その他は?」

「えっと、他の生態は基本的な兎と変わらないから水辺の近くとか、穴の中に潜って寝たりとか……」

「うんうん、僕が冒険者ギルドで聞いた情報と一致してる」

「あとは強い魔物の傍にいることが多い」

「……え?」


 ミアのその言葉にノンはキョトンとしてしまいました。その情報は冒険者ギルドでも教えてくれなかったからです。


「それは、本当?」

「え、うん……前に読んだ本に書いてあったよ。あ、でも、それは絵本だったかも。『影兎と女の子』っていう森に迷い込んじゃった女の子が影兎の後を追いかけて冒険するっていう」


 ミアはその絵本の内容を思い出しているのか、少しだけ懐かしそうに笑いました。そして、ハッとして首をブンブンと振ります。


「その絵本の中で影兎が大きな魔物の傍でくつろいでるシーンがあって……それが印象的だったの。ごめんなさい、これは忘れて――」

「――ううん、可能性はゼロじゃないよ」


 申し訳なさそうに頭を下げようとしたミアの言葉をノンは遮りました。シャドーラビットは影に潜れる魔物ですが、それしか特筆できるものがないため、常に天敵から狙われています。影に潜れるからといって複数の敵に襲われたら影兎でもすぐに殺されるでしょう。


 だからこそ、影兎は凶暴な魔物の傍にいる。それも単独で行動している魔物。そうすれば影兎を狙う天敵はその凶暴な魔物を恐れて近づかず、仮に凶暴な魔物が影兎を狙った場合、影に逃げ込めば一時的にやり過ごせる。つまり、影兎は凶暴な魔物を相手にするだけで格段に生存率が上がる――そう、寄生しているのです。


「まずは凶暴な魔物を探してみよう」


 そして、ノンはミアにそう提案したのでした。

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