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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第四章 狩人さんは想い人に会いたい
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第294話 別行動

「んー、やっと着いたわね」


 時刻は午後三時過ぎ。特に魔物に遭遇することなく、無事にボアレの街に着きました。門を潜り抜け、アレッサは背筋を伸ばしながら疲れたように呟きます。シスイール駆除の依頼を受けてから今日で四日目。戻ってくるのに予定よりも随分とかかってしまいました。


「じゃあ、私はこのままギルドに行って報告してくるわ。ノン、鞄を貸して」

「はーい」


 シスイール駆除の証拠として持ってきたヒレですが、さすがに大きすぎるためノンのマジックバックに保管していました。きっと、人の目がないところで取り出してギルドに提出するのでしょう。


「グレイクは一度、宿を引き払うのよね?」

「ああ、そっちの宿に移す」


 アレッサの質問に答えたのはフードで顔を隠したグレイクです。今は魔族との戦争中ということもあり、人間の国で獣人を見かけることはあまりないため、彼は面倒事を避けるために耳や尻尾を隠していました。


「アゼラ、絶対に布を外しちゃ駄目だからね」

「わ、わかってるっての」


 特にアゼラたちのような獣人の子供は珍しいため、ノンのマジックバックに入っていた布を被って縮こまっていました。グレイクがばれた時にどんなことが起こるか詳しく説明したせいで怯えてしまっているようです。


「とりあえず、皆はグレイクと一緒に行動すること。宿に着いたらもう一部屋確保して男部屋と女部屋に分かれましょ。ノン、申し訳ないけど私の荷物を女部屋に運んでおいてくれる?」

「はい、わかりました」

「じゃあ、なるべく早く戻るから大人しく待ってなさい。特にアゼラ」

「なんでおれだけなんだよ!」


 鼻息を荒くして憤慨するアゼラを無視してアレッサは話し終えると冒険者ギルドへと向かいます。今回は合同受注のため、本来ならグレイクも一緒に行くべきなのですがアゼラとミアがいるため、アレッサに報告を一任しました。


 グレイクもアレッサが代表で報酬金を受け取ることを承認している証拠として彼の冒険者カードを渡してあります。おそらく、盗難されたわけではないと証明するために明日、グレイク本人が冒険者ギルドに顔を出す必要はあると思いますがそれでも面倒な報告作業をアレッサ一人で終わらせるだけでも効率は違うでしょう。


「じゃあ、行くぞ。オレの宿はそこまで遠くない」

「わかりました」


 時間は有限。グレイクはノンたちを連れて彼が泊まっている宿へと向かいます。もちろん、顔を隠している集団が街を歩けば目立ってしまいますが獣人だとばれるよりはマシ。唯一、顔を隠していないノンが楽しそうに話しかけているおかげで怪しさを緩和しており、憲兵を呼ばれることはなさそうでした。


 もちろん、アレッサと別行動を取った理由はあります。


 まず、子供たちを連れて冒険者ギルドに行くのは危険だからです。アゼラたちは事故で逃げ出せただけで奴隷から解放されたわけではありません。もし、ぶつかったりして布を落とし、アゼラたちが獣人の子供だとバレた場合、確実に怪しまれるでしょう。そして、ここにいる理由が露見した時、アゼラたちが不当に奴隷にされたとしてもノンたちと引き離され、その身の潔白が証明できなければ奴隷に逆戻りです。


 もう一つは単純にアゼラたちが人間に対して不信感を抱いており、人込みを避けるべきだと判断したからです。奴隷として酷い目に遭った彼らは奴隷商が人間だと知っており、ノンたちと出会った時も警戒していました。


 ノンが子供だったこと。グレイクが獣人ですぐに食料を渡すように言ったおかげで状況がこじれる前に警戒心を解くことはできましたがあくまでそれはノンたちだけです。その証拠にアゼラは布の隙間から人間たちを睨みつけ、ミアはノンの後ろにくっついて離れません。彼らが本当の意味で人間を許すにはもっと時間が必要でしょう。


「ここだ」


 グレイクの宿は確かに門から近い場所にありました。そして、手早く宿を引き払い、次はノンたちが利用している宿へと向かいます。アレッサと別行動を取った最後の理由を終わらせるために。

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