表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/183

第0話 心願

 ――ご、めん……なさい……。



 誰かの謝る声が聞こえる。それはとても苦しそうで、悲しそうで、辛そうで。聞いているこちらの胸が痛くなるほどであった。



 ――……どうか。



 しかし、それからすぐ祈るような声に変わる。その声は震えており、涙を堪えているようだった。




 ――どうか……この子に幸せが訪れますように。




 だが、震えていたはずの祈りの言葉は神秘的な何かが込められていた。

 きっと、この声の主は僕とは違い、とても高貴な地位を持つ、もしくは神様(・・)のような超越的存在だろう。あり得ないはずなのに何となくそう思った。

 でも、それ以上にどうしてこの声の主は僕のためにこれほどまで真剣に祈ってくれるのか気になった。




 ――あの子の、行く末を見守り、たかった……。





 それを最後に声は聞こえなくなった。誰だったのだろう。もう一度、その声を聞きたかったがいくら待っても続きは聞こえない。

 でも、わかることが一つ。きっと、僕がこうやって自我を保っていられるのは声の主が手を貸してくれたからだ。この人がいなければ僕は僕ではなくなっていた。




 だから、僕はどんなことがあっても忘れてはならない。忘れたくない。命の恩人を忘れる恩知らずにはなりたくない。





 ありがとう、ございます。




 心の中でその声の主に対して感謝の言葉を述べる。届くかな? 届いてほしいな。






 ――スキルを取得しました。





 そんな機械染みた声を認識する前に僕の意識は沈んでいった。


感想、レビュー、高評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ