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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第四章 狩人さんは想い人に会いたい
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第293話 戦い方

「なぁ、おれは!?」

「はいはい、その話は歩きながらね」

「ちぇ、わかったよ」


 手を振ってアピールするアゼラの頭に手を置いた後、アレッサは歩き始めます。ボアレの街に近いといっても数時間は歩かなければならないため、時間を無駄にしている場合ではありません。アゼラも状況は理解しているため、渋々といった様子でアレッサに続きました。


「因みにアゼラはどうなんですか?」

「どうなんだ、どうなんだ!」


 そんな中、ノンもアゼラの適性について気になったようでグレイクに話しかけます。もちろん、自分の話をしているともなればアゼラもその話に入ってきました。


「そうだな……熊族は腕力が強い。だから、前衛なのは間違いないだろう」

「おー、やっぱそうだよな! 剣とか振って魔物を倒す!」


 おそらく、アレッサよりも冒険者歴が長く、獣人にも詳しいグレイクはすぐに答えました。その答えはアゼラにとって満足のいくものだったらしく、剣を振る真似をしながら笑います。


「いや、剣は少し不向きかもしれない」

「え、どうしてだよ! 前衛っていえば剣だろ!」

「剣は見た目以上に技量が必要になる。刃の立て方、振り方、身のこなし、立ち位置、斬る場所……それを瞬時に判断して初めて鋭い一閃を繰り出せる」

「あー……」


 グレイクの説明に精霊の国で剣術をかじったことのあるノンは声を漏らしてしまいました。実は防御に関しては何の問題もなく、技術を吸収していた彼ですが剣術を習ってすぐに自分に才能がないとわかってしまったのです。今では白い包帯を使って斬り結ぶことぐらいはできますが最初の頃はそれも酷いものでした。それほど剣術は身に着けるのに大変なのです。


 アゼラは考えるよりも体を動かす方が得意なのは目に見えているため、剣術を身に着けるのは少しハードルが高いかもしれません。


「うへぇ……マジかよ」

「ああ、それに熊族の腕力では剣筋がブレる可能性がある。それだけ力が強いってことだ」

「それなら普通の剣より大剣とか大きい武器の方が得意そうですね」

「そうだな。ノンが言ったように大剣や……大槌なんかもいいかもしれない」


 大槌――ハンマーのことでしょう。確かに大槌は敵に向かって振るう、という単純な動作はアゼラに合っているでしょう。もちろん、大槌には大槌の難しさがあるので練習をしなければ使いこなせないのは剣術と変わりません。


「……」

「アゼラ?」


 大槌と聞いて何か反応すると思っていましたが彼は不意に立ち止まって地面を見つめていました。彼の様子が変わったのを感じたノンは不思議そうにその名前を呼びます。


「なぁ、ノン、グレイク。家に帰るまでの間さ、おれに戦い方を教えてくれよ」

「……そう思った理由を聞いてもいい?」


 神妙な表情を浮かべたアゼラはノンとグレイクにそう頼みました。思わず、グレイクと顔を見合わせた後、彼に理由を問いかけます。


「おれ、馬車が壊れて逃げ出した後、何もできなかったんだ。ミアがいなかったら今頃、死んでたし、クレイウルフに追われた時もミアを茂みに隠して囮になることしかできなかった」


 アゼラたちを助けた時、ミアは茂みに隠れていましたが彼は今にもクレイウルフに襲われそうになっていました。あれはミアを身を挺して守ろうとした結果だったのです。


「だから、おれは強くなりてぇ。もう、役立たずはいやなんだ」


 そう語るアゼラの目には覚悟の色が見えました。ただの子供特有の憧れではなく、必要だと思ったからこそ、こうやって二人に頼んでいるのです。


「……うん、僕でよければ」

「オレは後衛だからな。知識しかない。それでもいいなら力を貸そう」


 ノンはもちろん、アゼラの様子に何か思うことがあったのでしょう。グレイクもすぐに彼の頼みを了承しました。


「ッ! ああ、ありがとう!」

「……」

「……まったく」


 ノンたちの返事にアゼラはお礼を言いながら嬉しそうに笑います。そんな彼らをミアは羨ましそうに見ており、アレッサはため息交じりに肩を竦めました。

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