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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第四章 狩人さんは想い人に会いたい
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第281話 洗浄

 獣人の子供たちを助けるために時間を要してしまったため、今日中にボアレの街に戻るのを諦めたノンたちはとりあえず、子供たちを綺麗にすることにしました。現在、熊族の男の子が丸裸にされ、アレッサに洗われてします。


「ぎゃー! やめろー!」

「ほら、大人しくしなさい!」


 水が苦手なのかぎゃあぎゃあ騒いでいますがアレッサは遠慮なくごしごしと洗っているようでした。


「もー、あんなに騒ぐ必要ないのに」

「女の人に洗われるのが恥ずかしいんじゃないかな?」


 女の子の方は水にそこまで抵抗はなかったようで大人しくアレッサに洗われ、今はノンに髪を拭かれています。よく妹の髪を拭いていたため、ノンも手つきは慣れたもので彼女も気持ちよさそうに目を細めました。


 長い間、洗っていなかったからか、以前の彼女の髪はごわごわとしていましたが綺麗好きのアレッサによってふわふわに仕上がっています。拭いているノンもその柔らかさに驚くほどであり、どうやら、彼女の髪質はくせっ毛のようでした。


「あ、そうだ。君たちの名前、まだ教えてもらってなかったよね?」


 垂れた犬耳をタオルで挟むように包み、水気を取っている最中、ノンは不意に思い出して女の子へ話しかけます。


「そういえば……すみません、本当なら自分から名乗るべきなのに」

「あんなことがあったからね。仕方ないよ。僕はノン。よろしくね」

「はい、ミアっていいます! あっちで暴れるのがアゼラです!」

「うん、ありがとう。あと、アゼラを洗ってるのは僕の師匠のアレッサさん。僕と一緒に君たちと出会ったのがグレイクさんだよ」


 なお、グレイクは今日の晩ご飯のために動物を狩りに行っています。彼もノンのマジックバックに食料が入っているのはすでに知っていますが今後、何が起こるかわからないため、食料は可能な限り、取っておいた方がいいと言って森へ行ってしまいました。


「えっと、ノンさん?」

「ノンでいいよ。多分、同じくらいだから」

「え、体が小さい種族とかじゃないんですか!?」


 どうやら、ミアはノンが見た目通りの年齢ではないと思っていたらしく、勢いよく振り返って彼の姿を丸々とした目で見つめます。


「うん、普通の人間。六歳だよ」

「わ、私の方が年上……」

「あ、そうなんだ。アゼラは?」

「一個下なのでノン君と同じ、です」

「敬語もいらないよ。せっかく一緒に旅をするんだから仲良くなろ」


 ミアを安心させるためにノンは笑いかけながら手を差し伸べました。そんな彼に戸惑ったように手をジッと見ています。


「ミア?」

「あ、ううん! ありがとう!」


 ノンが不思議そうに首を傾げたところで我に返った彼女は慌てて彼の手を掴みました。ミアの手は触っただけで荒れているとわかるほどボロボロです。一体、ミアたちはこれまでにどれだけ酷い目にあったのか。ノンには想像すらできませんでした。


「……うん、よろしくね」


 これ以上、彼女たちを不幸な目に合わせたくない。そう思ったノンは決意を新たにして頷きました。


「はい、これでバッチリ」

「くっそ、覚えてろよ!」


 その時、ノンが作った白い幕の向こうからほかほかに仕上がったアゼラが出てきます。その後ろには一仕事終えたと言わんばかりに満足げなアレッサ。ミアと同様、アゼラも隅から隅まで洗われたようです。


「じゃあ、次はアゼラだね。こっちおいで」

「はぁ? なんで、お前のとこに行かなきゃなんねーんだよ」

「こら、アゼラ! ノン君に失礼でしょ! そのままだと風邪を引いちゃうから髪を拭いてくれるんだって!」

「こんなのほっとけば乾くって!」


 ミアの言葉にアゼラが反論し、またぎゃあぎゃあと喧嘩が始まってしまいました。アゼラは反抗期なのか、素直ではない態度を取ることが多く、それをミアが指摘する。出会ってまだ間もない二人ですがすでにそんなやり取りを何度も繰り返していました。


「まったく、仲良しね」

「そうですねー」

「……ノンはまだ向こう側にいるべきなんじゃないか?」


 口喧嘩を繰り広げる二人を微笑ましそうに眺めるノンとアレッサ。丁度、その時、グレイクが帰ってきたようで保護者のような立場にいるノンに思わずツッコミを入れてしまいました。

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