表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第四章 狩人さんは想い人に会いたい
285/289

第279話 将来

「あら、また随分とんでもない拾い物をしてきたわね」


 すぐには判断できないとわかったノンは獣人の子供たちを連れてアレッサと合流することにしました。そして、彼らを見たアレッサの第一声はあまりに他人事のような言葉だったのです。


「それにやっぱり獣人だったのね」

「……わかっていたのか?」

「あれだけ身のこなしが軽かったらね。姿を隠す理由も何となくわかるし」

「そう、ですか……」


 更にグレイクの正体にも何となく気づいていたようで特に驚いていませんでした。アレッサに何か言われるだろうと覚悟していたノンはどこか肩透かしを食らってしまい、小さくため息を吐いてしまいます。


「それで? どうするの?」

「……」


 アレッサの問いに彼は何も言えませんでした。彼がどう行動するかによって獣人の子供たちの将来が決まる。それはそう易々と決めていい物ではありません。


「……ノン」


 そんな彼を見かねたのか、グレイクは低い声で呼びました。その声に顔を上げ、いつの間にか自分が俯いていたことに気づきます。


「人を助けるというのはこういうことだ。背負わなくてもいい重荷を背負うこともある。それでもお前はこの子たちを助けてよかったと思えるか?」

「はい、助けたことに後悔はありません」


 グレイクの目を真っすぐ見つめ、ノンは即答しました。確かに自分の判断一つでこの子たちの将来が決まると考えると体が震えます。ですが、それでもなお、助けられてよかったと断言できました。


「……そうか」


 ノンの言葉に嘘はないとわかったのか、グレイクはそれ以上、何も言いませんでした。アレッサもノンを見て呆れたように苦笑を浮かべています。


(今後、か)


 獣人の子供を助けなければボアレの街に戻り、近いうちに迷宮都市に向かって街を出発していたでしょう。


 しかし、今はこの子たちがいます。そう簡単に決めていいものではありません。少なくともノンだけで決めては――。


(……ああ、そうか)


 ――そう、彼が勝手に決めてはならない。なら、自分だけで決めなければいいのです。それに気づいたノンはアレッサと合流してから不安そうにしている獣人の子供たちに立ちました。彼らと身長はほとんど変わらず、自然と目が合います。


「君たちは、どうしたい?」

「え?」

「今後のこと……一緒に考えてもいいかな?」


 最も大事なのは子供たちの気持ち。彼らがどうしたいのか、聞かなければ何も始まりません。


「……」


 どれほどの間、奴隷として生きていたのかわかりませんが決定権のない生活をしていたのです。もちろん、子供たちもすぐには決められないでしょう。その証拠に彼らは戸惑ったように顔を見合わせました。


「……何でもいいの?」

「叶えられるかわからないけど教えて欲しいな」


 ノンは子供たちの願いを可能な限り、叶えてあげるつもりでした。おそらく、アレッサもそれに付き合ってくれるでしょう。そんな彼の心が伝わったのでしょうか。男の子と女の子は一瞬だけ鳴きそうな顔をして唇を噛みしめました。


「本当に、いいのか?」

「うん、いいよ」

「……なら――」


 ノンが頷いた拍子に女の子の目から一粒の涙が零れ落ちます。そして、その小さな口から震えた声で願いが溢れました。




「――おうちに帰りたい」

感想、レビュー、ブックマーク、高評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ