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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第四章 狩人さんは想い人に会いたい
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第275話 警告

 シスイールの死体が燃え尽き、後処理を終えた三人はボアレの街へと帰ります。相変わらず会話は少ないものの、その道中は行きに比べたら気まずいものではありませんでした。


「この調子だとギリギリ夜になる前に着く?」

「ああ、そうだな」


 なにより、アレッサとグレイクが普通に話をしているのです。あんなに険悪だった二人も一緒にシスイールを倒したことによってお互いに認め合った、ということでしょう。


「あ、ちょっと待ってください」


 その時、ノンが不意に立ち止まりました。何事かと首を傾げるグレイクといつものか、とため息を吐くアレッサ。そんな二人の様子を気にすることなく、ノンは目を閉じました。


「……もう少し先で誰かが戦ってますね。相手はおそらく魔物だと思います」

「なんでわかる?」


 実力者のグレイクも気配を感じ取るのに長けているのでしょう。そんな彼よりも先に察知したノンに疑問を持つのは当たり前です。


「魔力感知に反応があったんです」

「……」

「この子、魔法は使えないけど魔力の扱いには長けてるの」


 ノンの言葉に『何を言っている?』と言わんばかりにアレッサへ視線を送るグレイク。彼の気持ちがわかってしまうアレッサは呆れたように詳細を教えました。


「これは……追われてる? 多分、余裕はなさそうです」

「……だからなんだ?」

「二人は先に行っててください。ちょっと様子を見てきますので」

「待て」


 そう言ってアレッサたちの返事を待たずに駆け出そうとするノンでしたがグレイクは彼の肩を掴んで止めました。


「え、グレイクさん?」

「どうしてお前が行く必要がある」

「もし、危ない状況なら助けたいからです」

「……」


 当たり前のように答えるノンに彼はピクリと手を震わせます。まるで、今の一言で心が跳ねたような反応。


「戦っているなら冒険者だろう。それで死んだらそいつが悪い」


 冒険者は基本、お互いに干渉しない傾向になり、目の前で死にそうになっている冒険者がいたとしても見捨てる人も珍しくありません。助けに入ってその魔物に殺されるかもしれず、そもそもピンチを装って助けにきた冒険者を狩る盗賊の可能性もあります。助けに入ったことで獲物を横取りしたと文句を言う人もいるため、触らぬ神に祟りなしと冒険者は助けに入りたがりません。だからこそ、自分の身は自分で守るしかない。冒険者は自己責任が伴う職業を言われている要因でもあります。


「でも、冒険者じゃないかもしれません」

「だが――」

「――なら、グレイクも一緒に見に行けばいいじゃない。ノンが厄介ごとに首を突っ込もうとしたら止めてね」

「あ、おい」


 『私は先に行ってるから』とアレッサは言いたいことを言った後、さっさと歩きだしてしまいました。まさか師匠である彼女がノンを放置するとは思わなかったらしく、グレイクは彼女を止めようと手を伸ばしかけ、無駄だとすぐに悟ったのかその手をすぐに降ろします。


「グレイクさん」

「……あいつとは合流できるのか?」

「はい、師匠の魔力は覚えてるので遠くてもすぐに感知できます」

「はぁ……わかった。だが、様子を見に行くだけだ」

「ありがとうございます!」


 仕方ないとため息交じりに頷いたグレイクにノンは笑みを浮かべてお礼を言いました。そんな彼の笑顔にグレイクは気まずそうに顔を逸らします。


「ほら、さっさと行くぞ」

「はい!」


 そして、ノンとグレイクは魔力感知を頼りに現場へと向かいました。

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