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第25話 五歳

 ノンが持病について知って約一年が過ぎ、すっかり季節は春となりました。なお、この世界の暦は地球とほぼ同じであり、季節も春から夏、秋、冬と巡ります。具体的な季節の名前などはわかりませんが覚えるのにあまり苦労しなさそうです。


「ねぇ、ノン。お誕生日、何が欲しいとかある?」


 そして、明日はノンの五歳の誕生日。この世界でも誕生日を祝う習慣があるようでエフィは子供部屋でノンを抱っこしながら聞いてきます。因みに去年は新しい絵本をねだり、言葉の習得に大いに役立てました。


「んー」


 誕生日プレゼント。色々と思いつくものはありましたが、一つだけノンは気になっていることがあり、それを言うか言うまいか悩みます。


「なんでもいいんだよ? 新しいおもちゃとか、絵本とか」

「じゃあ、外に出てみたい」

「……え?」


 ノンの返答にエフィはキョトンとした様子で声を漏らしました。ノンは生まれてこの方、家の外に出たことがなかったのです。もしかしたら、眠っている間に外に連れ出されたことはあるかもしれませんが、少なくとも意識がある時は基本的に家の中で過ごしていました。


「の、ノン? お外、出たことなかったっけ?」

「うん、ないよ?」


 ルーが洗濯物を干すために外に出たのを見たことがあったので庭はあるようでしたが病気を患っている状態で勝手に行動するわけにもいかず、彼はエフィたちが言いだすまで待つことにしたのです。


「ッ!? ルー! ルーはいる!?」

「はい、奥様。そのように騒がれていかがなされました?」

「ノン、外出たことないんだって! ルーは外に出さなかったの!?」

「……私はてっきり、奥様が抱っこして連れているものとばかり」

「ひゃあああ、ノン! ごめんねぇ、私ってホント駄目なお母さんだぁ……」


 どうやら、エフィとルーはお互いにノンを外に出したことがあると思っていたようです。


 更にその見落としに拍車をかけたのは魔力操作の鍛錬です。最近では操作にも慣れ、寝落ちすることはなくなりましたがそれまではどこでも寝落ちしていました。そんな状態でノンを外に出せるわけもなく、ずるずると今日まで時が過ぎてしまったのです。


 なお、今は起きている間も体内で魔力をぐるぐると回し続けられるほどになりました。特にメリットがあるわけではありませんが、魔力操作はすっかりノンの趣味となっているため、止めるつもりはないようです。


「じゃあ、今から行こう! ルーはピクニックの準備して!」

「いきなり、ピクニックはノン様のお体に障るのでは?」

「お庭でランチするだけだから! ノンもお外でご飯、食べたいよね?」

「食べるー」

「……はぁ。少々、お待ちください」


 こうしてノンのお外デビューが決まりました。

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