表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第四章 狩人さんは想い人に会いたい
278/294

第272話 候補

「……」


 自分の旅を話したノンでしたがそれ以上、何も言いませんでした。グレイクがその思いを聞いてからどこか心あらずといった様子だったため、時間を空けようと思ったのです。


「話さなかったのね」


 今ならシスイールの肉をマジックバックに入れられそうだと判断したアレッサがノンを連れて外に出て切り分ける作業を始めました。もちろん、雨に濡れないように二人の上には包帯で作った屋根があります。


「何をですか?」

「仲間のことよ。誘うつもりなんでしょ」

「……あはは、ばれてました?」


 アレッサが肉を切ってノンがマジックバックに入れる。そんな作業をしていると小声で的確に言い当てられ、彼は苦笑を浮かべるしかありませんでした。


「後衛だし、腕も申し分ない。いくら依頼がないからってこんな面倒そうな依頼を受けるほどのお人好し。まさにノン好みって感じ」

「えー、そんなにわかりやすかったですか?」

「そりゃもちろん。だから、変だなって」


 グレイクは態度こそぶっきらぼうですがノンに対する態度や言動から彼の人の良さはアレッサにもわかりました。彼こそ自分たちが探していた仲間にふさわしい人材。だからこそ、ノンが仲間に誘わなかったことに驚いたのです。


「……何となくですが、グレイクさんはそれどころじゃないと思います」

「それどころじゃない?」

「はい……なんていうか、余裕がない感じでしょうか。多分、何か目的があって旅をしてるんだと思います」


 これはあくまでノンの直感。ですが、何となく的外れではないと確信している自分もいました。


「根拠は?」

「ないです」

「はぁ……普通なら考えすぎって言うところなのにノンが言うと本当にそうなんじゃないかって思えちゃうのよね」


 また一つ、シスイールの肉を切り分けた彼女はノンへとそれを手渡しながらため息を吐きます。そして、仕方ないな、と困ったような笑みを浮かべました。


「手伝いたいんでしょ」

「ッ……」

「やっぱり……本当にわかりやすい子ね」


 更に核心を突かれ、ノンは思わずドキッとしてしまいます。そんな彼を見て予想が当たっていたとわかった彼女は小さく笑いました。


 アレッサはノンに様々なことを教えてくれます。そして、彼がしたいことに文句を言いながら付き合ってくれる優しい人。そんな彼女にノンは頭が上がりません。


「でも、あの人は人を避けてるわ。彼の事情を聞き出すのは難しいと思うけど」

「そう、ですよね」


 グレイクの態度は明らかに人を毛嫌いしています。そのため、彼から事情を聞かれるとは思っていなかったので驚いてしまったほどでした。人嫌いなら他人の事情など気にするわけがないからです。


「何か考えはあるの?」

「もちろん、ありません」

「なら、諦める?」

「うーん、どうでしょう」


 ノンの事情を聞いたグレイクは様子が変わったのは確かですが、その真意はまだ掴めていません。ですが、どうしてでしょう。彼はどこかホッとしたようなため息を吐いたような気がしました。


 だからこそ、ノンは自分の目的を後回しにしてでもグレイクのことを助けたいと思ったのです。そう思った理由は彼自身、あまりわかっていませんがその気持ちは本物でした。


「まぁ、この雨じゃ今日はここで野営するしかないわ。ボアレに帰るのは明日。それまでに何とかしなさい」

「えー、そんな無茶な」

「できないなら諦めなさい」


 グレイクのことで手伝うつもりはないようでシスイールの肉を切り分け終えたアレッサは肩を竦めながら立ち上がります。仕方なく、ノンもそれに続いてマジックバックを背負い、白いドームへと向かいます。


「どうしようかなぁ」


 雨の勢いは衰えておらず、簡単に止みそうにありませんでした。

感想、レビュー、ブックマーク、高評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ