表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第四章 狩人さんは想い人に会いたい
277/305

第271話 問答

 冒険者は自己責任が伴う職業。それでいて自分から動かなければお金を稼げない、とてもシビアな世界です。そのため、自分の実力に見合った仕事を見つけ、死なないように立ち回る。それが冒険者の常識でした。


 だからこそ、グレイクはノンとアレッサの在り方が信じられなかったのでしょう。齢六歳の冒険者と前衛で戦う魔法使い。あまりに常識離れした戦い方と実力に彼は黙っていられませんでした。


「そもそも私たち、お金を稼ぐために依頼を受けてるわけじゃないもの」


 しかし、グレイクの質問にアレッサはシスイールの串焼きを食べながらあっけらかんと答えます。


「じゃあ、何のために冒険者になったんだ。お前はともかく、ノンはまだ幼い。あまりに危険すぎる」

「んー……」


 ずっとノンのことを案じていたのでしょう。グレイクが更に質問を重ねましたが、彼女は事情を話すのを躊躇いました。


 ノンとアレッサは普通の冒険者とは事情が違います。ノンは家族と再会するために。アレッサも最初はノンに付き添う形で旅に同行しましたが今は魔族と戦っている最中に消えてしまった師匠を探すという目的があります。それに加え、いずれ起こる魔族との戦いに備え、情報を集めなければなりません。冒険者になったのはあくまで路銀を稼いだり、経験を積むため。最初から常識が通じる相手ではないのです。


 しかし、それを会ったばかりのグレイクに話すかどうか。事情が事情なため、そう簡単に教えていい内容ではありません。


「……師匠、いいですか?」

「あー……まぁ、そうだろうと思ってたわ。私は賛成よ」


 悩むアレッサにノンが申し訳なさそうな顔で話しかけました。たったそれだけで彼の言いたいことがわかり、彼女は苦笑を浮かべて許可を出します。


「グレイクさん、実は僕、家族を探してるんです」

「……なんだと?」


 予想外の言葉に彼は数秒ほど反応が遅れました。それからノンはこれまでに起きたことを手短に話します。一応、オウサマたちのことや魔族のことは伏せ、調べたいことがあるから迷宮都市を目指していると言い、話を終えました。


「だから、師匠と一緒に旅をしてるんです」

「……」


 話を聞き終えたグレイクは何も言いませんでした。ただ黙って焚火を見つめ続けます。そして、おもむろにその口を開きました。


「どうして……待ってなかったんだ? 保護してくれた人がいたんだろう」

「……ぷっ」


 グレイクの言葉はかつてノンに出会って間もないアレッサが口にしたものと全く同じものであり、彼女は思わず吹き出してしまいました。


「何がおかしい」

「ああ、ごめんなさい。私と同じこと言ってるって思って」

「……当たり前だろう。こんな子供が旅をするなんて無謀にもほどがある」

「そうよね。そう思うわよね」

「お前は黙っていろ。オレはノンに聞いているんだ」


 うんうんと頷く彼女にグレイクはカチンときたのか、無視してノンへと視線を向けます。フードの奥から覗く鋭い眼光。その目にはノンを心配している、というよりもどこか縋るような色が見て取れました。


「待ってるだけじゃ嫌だったんです」

「……」

「だって、現実ってすごく残酷なんです。明日、当たり前に会えるって思ってた人も急にいなくなっちゃう。当たり前って想像以上に簡単に変わっちゃうんですよ」


 だからこそ、ノンはアレッサに伝えたことを繰り返しました。旅に出て二か月。色々な経験をしてもその考えは変わりません。むしろ、あともう少しで王都が魔族によって滅ぼされていたと考えるとより一層、その思いは強くなったほどです。


「だから、僕から会いに行きます。どれだけ時間がかかっても……絶対に会いに行くんです」

「っ……そうか」


 そう言い切ったノンはにへらと笑います。その顔を見てグレイクは言葉を詰まらせ、ただ頷くことしかできませんでした。

感想、レビュー、ブックマーク、高評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ