第24話 成長
エフィにお礼を言ってからそれなりの月日が経ちました。あれ以降、エフィのメンタルは安定し、ノンもホッとしています。相談に乗ってくれたルーやジェードもエフィがニコニコしているのを見て彼が上手くやったと察したようで自分のことのように喜んでくれました。
(……あれ?)
さて、そろそろ薄い服だと肌寒くなってきた頃、毎日の日課である魔力操作(仮)をしていたノンでしたがふと違和感を覚えました。いくら魔力を動かしてもあまり眠たくならないのです。寝たとしても子供特有の睡眠時間の長さによる寝落ちだと何となくわかりました。
(もしかして、安定し始めた?)
魔力を操作するのに慣れ、無駄な消費をしなくなったのでしょう。そのおかげで寝る前のちょっとした時間では限界まで鍛錬し切れなくなってしまったのです。
しかし、これ以上、睡眠時間を削るのは子供の体によくありません。特に病気のせいで通常よりも睡眠時間を多くとらなければならない彼にとってこれは死活問題でした。
「……」
魔力を操作しながらノンは考えます。そして、一つの妙案――というより、当たり前のことを思いつきました。
(そうだ、起きてる時も魔力を操作しよう)
こうして、彼は寝ている時以外、体内で魔力を操作することになったのです。
「ぐぎぎ……」
「の、ノン、どうしたの? お腹痛い?」
「な、なんでも……ないよ」
もちろん、そう簡単にできたら苦労はしません。魔力を操作しながら日常生活を送る。その難しさは寝る前の日課よりも何倍も大変でした。
まず、第一に集中できないこと。
以前はしっかりと精神統一してから魔力を操作していました。ですが、日常生活を送るということはご飯を食べたり、歩いたり、エフィやルーと話したり、など色々とやることがあります。それと並行して体の奥にある魔力の塊を触りに行くのは至難の業でした。
(一応、触れるけど……動かせないっ!)
そして、二つ目に動きながら魔力を操作しようとすると極端に難しくなるということです。
集中できないのも要因の一つですが、ノンは魔力を操作する際、体の中を循環させるようにしていました。そのため、体を動かす度、魔力の流し方が変わるため、寝ている時よりも難易度が跳ね上がります。
最後に魔力の消費量が何倍にもなることでした。
ノンが寝ている間に循環させても寝落ちしなくなったのは無駄な消費がなくなったでした。しかし、集中できないことや循環の難易度が跳ね上がったことにより、無駄な消費が発生してしまい、以前とは比べ物にならないほど魔力の消費量が増えてしまったのです。
(でも、いい鍛錬になりそう!)
前世では鍛えたくても体を動かせない状態だったので何かに没頭するのは彼にとって久しぶりのことでした。
「……ぐぅ」
「あ、あれ!? ノン、ご飯の最中に寝ちゃダメ!」
だからでしょうか? たとえ、食事中に居眠りしてしまうことになっても彼は魔力操作の練習を止めることができなかったのでした。
――スキル『■■』の効果が発動しました。
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