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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第四章 狩人さんは想い人に会いたい
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第259話 閃光

「師匠……」

「……」


 パラパラと地面が消し飛んだ時に舞った欠片が落ちる音を聞きながらノンは不安そうな表情を浮かべ、砂塵の向こうにいるであろうアレッサの姿を探します。それに対し、グレイクはお終いだと言わんばかりに弓を降ろそうとして――ハッとして上を見上げました。


「いい風だったぜ!」


 彼の視線の先には遥か上空まで飛んだアレッサがいました。彼女は咄嗟に炎を地面に向かって噴出し、風を纏った矢の直撃を回避しつつ、爆風に乗って空高く飛んだのです。彼女の姿を見たノンはホッと安堵のため息を吐きました。


「今度はこっちの番だ! 死ぬなよ!」


 そう言いながら炎を消した後、バチリという音と共にその両手に雷を纏います。体内を巡る電気信号を加速させて身体能力を飛躍的に向上させる喧嘩殺法(ステゴロ)魔法、【迅雷】。彼女は雷を放出しながら地面に降り立ち、一瞬でグレイクの懐へと潜り込みました。


「ッ――」


 距離を詰められたグレイクは息を呑み、その手から弓を消します。そして、アレッサが突き出した目にも止まらない拳を紙一重で回避しました。


(かわした!?)


 目を強化してその光景を見ていたノンは思わず目を見開いてしまいます。魔力循環で肉体を強化できるノンですらアレッサの【迅雷】をかわせる自信はありません。だからこそ、この前の組手の時に即座に降参しました。


 ですが、グレイクは魔力循環すら使用せずにアレッサの拳を回避したのです。距離を取った時の跳躍力や今の反射神経を鑑みるに彼の身体能力の高さはノンの予想を遥かに超えているのかもしれません。


「ッ!」


 アレッサも回避されるとは思わなかったのでしょう。一瞬だけ目を見開いた後、ラッシュを仕掛けました。しかし、その全てをグレイクは的確に自分の体に当たる拳だけ避けます。


 そして、一瞬の隙を突いて一気にバックステップ。あの驚異的な跳躍力でアレッサから距離を取りました。もちろん、そんな彼をアレッサが逃がすわけもなく、彼を追いかけます。


「すごい……」


 グレイクがピョンピョンと地面を蹴って右に、左にと角度を変えて逃げる姿にノンは思わず言葉を零してしまいました。外套の上からでもわかるほど筋肉が付いているのに軽やかな身のこなし。アレッサ以外の金級冒険者が戦う姿を見るのは初めてですが、自分の実力は彼らに遠く及ばないことを自覚してしまいます。


「逃げんなっ!」

「無茶言うな」


 ブンブンと拳を振るいながらグレイクを追いかけるアレッサですが、彼の動きに翻弄されて攻撃を当てられません。それに苛立ったのか、グレイクに叫びます。喧嘩殺法(ステゴロ)魔法を知らない彼も当たったらマズイとわかっているようで言葉を返しながら逃げ続けていました。


「……これならどうだ!」

「くっ!」


 そこで何か思いついたようで彼女は左拳を高く突き上げて魔力を注いで眩い光を放ちます。そう、まさにそれは即席の閃光弾。アレッサの動きをよく見ていたグレイクはその光に目を焼かれ、苦し紛れ左後ろへ大きく逃げます。しかし、彼女も負けじと追いすがり、グレイクの視界が戻る前に拳の届く距離まで近づきました。


「これで――」


 千載一遇のチャンス。アレッサは右拳を硬く握りしめ、グレイクへと振るおうとした刹那――彼女はハッとして顔を右に傾けます。そして、それと同時に彼女の右頬を何かがかすりました。少し前に真上に放った矢が頭上から襲い掛かってきたのです。


(まさか、わざとあの場所に?)


 視界を潰された彼は矢が降ってくる時間と場所を計算して彼女が立つ場所をコントロールした、ということでしょう。一体、どれだけの鍛錬を積めばそれだけの技術を身につけられるのか。ノンには計り知れませんでした。


「ッ――」


 ノンが驚いている間も戦況は動きます。アレッサが矢をかわした隙にまだ目の眩みが回復しきっていないグレイクは矢を弓に番え、アレッサに照準を合わせたのです。しかし、多少バランスを崩しているアレッサもグレイクの顔面へと拳を突き出しました。


「死ね」


 そして、二人はお互いを殺すために――。

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