第256話 合流
時は少しだけ進み、お昼時。ノンとアレッサは屋台で軽食を済ませた後、冒険者ギルドに戻ってきました。フォスイールが生息する湖は川の上流にあり、歩いていくのに一日ほどかかります。そのため、グレイクという冒険者と共に野営し、明日のお昼頃に湖に到着する予定でした。
「マーシャの時はすぐにばれちゃったけど今回はしっかりしなさいよ。もちろん、白いドームも禁止」
「はーい」
冒険者ギルド内に設置されているテーブルでグレイクを待つ間、アレッサはノンに忠告します。以前に失敗しているのでノンは特に反論することなく、素直に頷きました。
「あ、グレイクさん、こんにちは!」
その時、受付嬢が入り口の方を見て嬉しそうに声を上げます。ノンたちもそちらへ視線を向けるとやはり、川を渡った時に見たフードで顔を隠したガタイのいい男性が立っていました。
「……依頼は?」
グレイクと思わしき冒険者はフードの奥からボリトンボイスで短く受付嬢へ質問します。その声にはどこか警戒心が含まれていました。
「実はあの後、グレイクさん以外にもフォスイール駆除の依頼を受けた方がいたんです! あそこのテーブルにいます!」
「なんだと?」
そんな彼の様子に気づかず、受付嬢はノンたちの方へ顔を向けて笑います。しかし、グレイクはあの塩漬け依頼を受けた冒険者がいるとは思わなかったようで驚いた様子で二人を見ました。
「はぁい、よろしく」
「よろしくお願いします」
「……女と子供じゃないか。いや、待て」
ノンとアレッサを見たグレイクは落胆したような声でそう呟きましたが何かに気づいたようにゆっくりと二人に近づいてきます。その大きな体に近づかれるだけで威圧感を覚え、ノンは思わず感心してしまいました。
「お前たち、あの川を渡った時にすれ違った奴らだな」
「そうね。まさかこうなるとは思わなかったわ。私はアレッサよ」
「ノンです。改めてよろしくお願いします」
そう言いながらノンたちも立ち上がり、グレイクと真正面から向き合います。そして、ガタイがいい割にそこまで彼の身長が高くないことに気づきました。いえ、それでもアレッサよりも頭の半分ほど高いため、百七十は超えているでしょう。ですが、それ以上に身長が高い印象があったため、ノンは少しだけ驚いてしまいました。
「……行くぞ」
「あ、ちょっと」
しかし、グレイクは数秒ほどノンたちを観察した後、挨拶もそこそこに冒険者ギルドから出て行ってしまいます。どうやら、彼はノンたちと仲良くするつもりはないようでした。
「……やっぱり、前途多難ね」
「まぁ、これからですよ」
仕方ないとため息を吐くアレッサとそんな彼女を励ますノン。そして、ニコニコと笑う受付嬢に見送られながら二人はグレイクを追いかけました。
「……」
ノンとアレッサの前を歩くグレイクは一度も振り返らずに街の外に出るため、門を目指して歩き続けます。ノンたちもそんな彼に話しかけることなく、ただついていくだけ。そして、そのまま門を抜け、少し歩いたところで不意にグレイクが足を止めました。
「じゃあ、帰っていいぞ」
「は?」
ぶっきらぼうに放たれた言葉にアレッサは思わず聞き返してしまいます。ですが、彼はノンたちの返答を待たずに再び歩き出してしまいました。
「ちょ、ちょっと! 待ちなさいよ!」
「……はぁ」
さすがに無視できなかった彼女は駆け出してグレイクの前に立ちはだかります。そんなアレッサに対し、彼は面倒臭そうにため息を吐きました。
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