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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第四章 狩人さんは想い人に会いたい
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第255話 合同受注

「はぁ……依頼についてはこんなもん?」

「あ、すみません。依頼とは別ですが先ほど言ったように別の方にも詳細をお話しています」

「じゃあ、早い者勝ちになるってこと?」

「いえ、ギルドとしては合同受注をしていただきたいです」

「合同受注?」


 聞き慣れない言葉にノンは首を傾げます。かれこれ冒険者になって二か月以上経ちますが彼の知らないことはまだまだあるようでした。


「合同受注は一つの依頼を複数の冒険者が協力して解決することよ。一つのパーティーでは討伐できないような強い魔物とか大群で行動するタイプの魔物を相手にする時によく使われる制度なの」

「あー、確かに万が一、フォスイールの目を潰し損ねたら増殖して大惨事ですもんね。確実に目を潰すために人の手は多い方がいいってことですか」

「それもあるんですが……実はこの依頼票、情報が更新されたのが一年以上前でして」


 気まずげに話す受付嬢に対し、ノンとアレッサは思わず顔を見合わせてしまいました。彼女の話が嘘でなければ問題のフォスイールはこの一年間、冒険者たちに観測されていないことになります。


「じゃあ、この依頼票の情報は当てにならないわね」

「はい……正直、アレッサさんのような強い冒険者がこの街に来るのが久しぶりでして。それまでは誰もが見て見ぬ振りしてたんです」

「ちょっと杜撰としか言いようがないわ」

「面目ありません……魔族との戦争が思いのほか、冒険者ギルドの運営に影響を与えているんです」

「あー……」


 受付嬢も現状をどうにかしたいのでしょう。だから、アレッサたちにこの依頼を提案した。そう、彼女は困っているのです。それがわかってしまったアレッサは何かを悟ったように声を漏らしました。


「師匠……」

「まぁ、そうなるか……そうなるよね」


 そして、困っている人を見るとどうにかしてあげたい病を患っているノンは案の定、アレッサの袖を引っ張り、上目遣いで何かを訴えかけます。もちろん、こうなったら彼が引かないことを知っている彼女は肩を落としました。


「とりあえず、様子だけでも見て来るわ……それで討伐できそうだったらそのまま駆除する。それでもいい?」

「はい、構いません! ありがとうございます!」


 アレッサの言葉にパァっと笑顔を咲かせた受付嬢は勢いよく立ち上がった後、受注作業に入りました。そんな彼女を見て仕方ないか、とアレッサも苦笑を浮かべます。


「あ、作業したままでいいんだけどさっき言ってたこの話をした冒険者はどうだったの?」


 塩漬け依頼だったからでしょうか。受付嬢はパタパタとカウンターの後ろに置かれた本棚からいくつかのファイルを取り出したり、受注作業に必要な機材を用意し始めます。そんな彼女を眺めていたアレッサですが、ふと気になったことを聞きました。


「はい、実はその方も受けてくれました! そのため、今回は合同受注となります!」

「ふーん……その人はいつぐらいに調査しに行くって?」

「今日のお昼頃に冒険者ギルドに立ち寄って他に依頼を受けた人がいなければ一人で調査すると言ってました! 冒険者ランクはアレッサさんと同じ金級です!」

「へぇ、どんな人?」

「あー、それが名前ぐらいしかわからないんですよね。お名前は『グレイク』。男性の冒険者であり、外套とかフードで容姿を隠していました」

「……」


 受付嬢の説明にノンとアレッサはほぼ同時に同じ人物を思い浮かべました。そう、川を渡った時に出会った謎の弓使いです。


「ねぇ、ノン」

「はい、何でしょう」

「ちょっと面倒そうだなって思ったのは私だけ?」

「いえ、何となくわかります」

「はい、受注完了です! この後、グレイクさんが冒険者ギルドに来ますので合流してくださいね!」


 ノンたちの表情が見えていないのか、受付嬢は受注完了したことを証明する書類をアレッサに渡しました。どうやら、ただのフォスイール駆除とはいかないようです。

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