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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第239話 優勢

「くそが!」


 苛立ったような声で叫んだ魔族は向かってくるアレッサへと拳を突き出します。ですが、その前に上から二本の包帯が飛んできてその手に絡みついて上に引っ張りました。そのせいで魔族の拳が僅かに上に逸れ、アレッサは姿勢を低くしながらそれをかいくぐります。


「ふんっ」

「あああああ!!」


 そして、がら空きの鳩尾へ掌底打ち。ドン、という鈍い音と共に彼の体が無数の氷の棘が飛び出します。魔族は痛みに絶叫しながら翼をはためかせ、上へと離脱。その間に氷の棘は全て抜け、破れた皮膚がすぐに再生していきます。


「どうなってんだ!」


 アレッサでは手の届かないところまで浮上した彼はそのまま魔法を使おうと魔力を放出します。ですが、すぐに白い包帯が飛んできて膨張。魔族の魔力は吹き飛び、魔法がキャンセルされました。


「師匠!」


 魔法が使えずに奥歯を噛み締めている間にノンがアレッサに白い包帯を伸ばします。そのまま彼女の胴体に巻き付けた後、思いきり振るってアレッサを飛ばしました。


「なっ」


 ロケットのように一直線に魔族の傍まで飛んできた彼女は左手を下に向け、水を噴出。その場でくるりと前転して魔族の上を取りました。そして、右手で輝く雷光。


「【迅雷】!!」


 バチリ、という音が大気を震わせ、薄暗い部屋に広がる目が眩むような閃光。そのまま魔族の脳天に拳を落とすと彼は紫色の魔法陣が輝く地面に叩きつけられます。それでもなお、魔法陣は壊れていません。どうやら、不壊の強化(エンチャント)が施されているようです。


「ま、だまだ!!」


 全身が黒焦げになったまま、魔族の男は咆哮します。そして、迸る身の毛がよだつほどおぞましい気配を感じる魔力。ですが、その隙にノンは部屋中に白い包帯を伸ばしてアレッサに叫びました。


「師匠、跳躍(ジャンプ)です!」

「ッ……ハッ、踏み砕けたら承知しねぇからな!」


 そう言いながらも彼女はニヤリと笑いながら近くに漂っていた包帯に足を乗せ、跳躍。踏まれた包帯は大きく弛みますがしっかりと彼女の体を支え切り、アレッサは別の包帯へと向かいます。そのまま体を反転させてまた別の包帯に向かって跳躍しました。


 その両手に雷を纏っているため、アレッサの速度はどんどん上がっていき、いつしか一つの閃光となって縦横無尽に部屋を飛び回ります。さすがの魔族でもその動きを捉えきれていないのか、視線を何度も彷徨わせていました。


(やっぱり!)


 その光景を見ながらノンは身体能力が向上した恩恵により、跳躍(ジャンプ)の精度も上がっていることを確信します。そして、アレッサが魔族の背後を取ったのを見て彼女が足場にした包帯を一気に縮めて即席のジャンプ台としました。


「―――――」


 ギリギリまで張った包帯を全力で踏み込んだアレッサは魔族の背中に右拳を叩き込みます。そのあまりの威力に彼の体は逆くの字に折れ曲がり、背骨から嫌な音が聞こえました。


「――放電(スパーク)

「ぎゃあああああああああ!?」


 そして、体内で形成された魔法が発動。魔族の体から凄まじい雷撃が飛び散り、天井や床、壁を焦がしていきます。その状態のまま、壁まで吹き飛びました。


「すごい……」


 両手から雷を消して壁に背中を預けてぐったりしている魔族を見ながらノエルは思わず言葉を零してしまいました。あの魔族相手にここまで一方的に戦えるとは思っていなかったのです。


「てめぇら……いい加減にしろよ」


 しかし、それでも魔族は立ち上がりました。すでに半身が炭となっているはずなのに瞬きをした瞬間、その体は綺麗になっています。


「……やっぱり、面倒ね」


 それを見たアレッサはため息を吐いた後、その両手に水を迸らせました。

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