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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第226話 厄介

 隠された通路の先に待っていたのは体育館ほどの大きさがある空間。壁は地下水道のそれとほぼ同じですが天井が二倍ほどの高さがあります。また、ノンたちが出てきた壁の反対側にも奥に続く通路。その先は残念ながら暗くてわかりませんが少しだけ嫌な気配を感じるのは気のせいでしょうか。


「よぉ、待ってたぜ」


 その時、瞬きをしていないのにリーダーの男と彼の仲間の一人が広間の真ん中に立っていました。ノンはノエルを守るように前に出ます。


「やっぱゲロったか。あいつ、根性ないからな」

「その魔道具を渡してもらえますか?」

「はは、素直に渡すとでも? あ、その娘と交換なら考えてやるよ」

「応じるわけがないってわかってるくせに」

「ちげえねぇな」


 短いやり取り。ただそれだけでお互いに譲る気がないとわかり、ノンとリーダーの男は同時に前へと突っ込みます。


「はっ!」


 まだ手が届かないところでノンは右の包帯をリーダーへと伸ばしました。しかし、彼はそれを体を半身にすることでやり過ごします。そして、何も持っていない右腕を高々と振り上げました。


「ッ!」


 咄嗟に魔力循環で目を強化。動体視力が向上し、男の右手が不自然な――何かを握っているような形になっていることに気づき、慌てて身を屈めました。その直後、ノンの頭上でブン、と長い物が振るわれる音が響きます。


「よく気づいたなぁ!」


 リーダーの男はにやにやと笑いながら振るった右腕を今度は下から振り上げます。その手にはきっと剣のような長い得物。魔道具の効果で見えないように細工しているのでしょう。


「くっ」


 男の手の角度。腕の長さ。風を切る音。その全てで剣の長さを予想し、ノンはギリギリで体を傾けて回避。しかし、やはり見えていないせいで距離を見誤り、ノンの黒い髪が少しだけ斬られて宙を舞いました。


「おらっ!」

「ノンくん、後ろ!」


 そして、厄介なのは魔道具だけではありません。ノンの背後に突如として大柄な男――最初、ノエルが入ったズタ袋を持っていた男が現れ、その手に持った棍棒を振るいました。ノエルが教えてくれたおかげで背中に包帯を集めて棍棒を防御。そのまま包帯の盾で押して大柄な男を遠ざけます。ですが、その途中でまた男が消えてしまい、どこにいるかわからなくなってしまいました。


「まだまだ行くぞ!」


 その隙にリーダーの男はノンへと接近し、今度は左手を振るいます。急いで距離を取ろうとしますがその左手が握りこまれていることに気づきました。


「ッ――」


 選択は迎撃。あえて前に出ることで男との距離を詰めます。そして、男の左腕の動きに合わせてノンも右腕をアッパーカット気味に突き出して拳と拳がぶつかり合いました。


「なっ」


 ゴン、という音と共に驚いたような声を上げたのはノンでした。魔力循環によって肉体を強化している彼の拳は岩をも砕く威力を持っています。しかし、リーダーの男とノンの拳は力が拮抗し、その場で制止。そのせいで少しだけ思考が逸れてしまいました。


「死ねや!」

「ガッ」


 また大柄な男がノンの右隣りに現れ、棍棒を横なぎに払います。その棍棒はノンの脇腹を捉え、その腕力によって彼の体は軽々と吹き飛ばされて壁に激突してしまいました。


「ノンくん!」


 通路の出口付近で見守っていたノエルは悲痛な叫びをあげます。強いと思っていたノンがまともに攻撃を受けてしまったからでしょう。


「いてて」


 ですが、壁に叩きつけられたのにノンはケロッとした顔で立ち上がりました。彼の背後には大量の包帯。吹き飛ばされながら包帯を伸ばして即席のクッションを作ったようです。


「やっぱ、その包帯、厄介だな」

「それはお互い様だよ」


 棍棒の直撃を受けたのに怪我をした様子のないノンを見てリーダーは面倒臭そうにため息を吐き、ノンも彼の腕に付いている腕輪を睨みつけました。

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