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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第223話 聴取

「がっ」


 天井に叩きつけられた男はその衝撃で気を失ったのでしょう。そのまま地面に落ちてピクリとも動かなくなってしまいました。


「ちっ、馬鹿が。魔力循環を使う相手だぞ!」


 迂闊な仲間にリーダーの男は悪態を吐き、再び魔道具を使って姿を消してしまいます。ノンは空中にいる状態で数秒ほど様子を伺いましたが特に攻撃してくる様子はなかったため、通路へと着地しました。


「ノエちゃん、大丈夫?」

「うん、平気。ノンくんすごかった」

「師匠の方がすごいよ」


 ノンが戦う姿を初めて見た彼女は眠たそうな目をキラキラさせています。その目が少しだけ照れ臭くなり、彼は誤魔化すようにアレッサの名前を出しました。きっと、彼女ならリーダーの男が姿を現した瞬間に【迅雷】で瞬殺していたでしょうから。


「ノンのお師匠さんも気になる。今度、会わせて」

「うん、もちろん」


 そのために地下水道から早く脱出しなければなりません。幸い、男たちの仲間はここで気絶しています。マジックバックからロープを取り出して縛った後、水路の水をぶっかけました。


「ガハッ、げほ……な、なんだ?」

「おはようございます」

「てめぇ、あ、くそ!」


 水の冷たさで意識を取り戻した男は目の前に立つノンを見て殴りかかろうとしますが縛られていることに気づき、悔しそうに奥歯を噛みしめるだけでした。


 これまで主にリーダーの男が話していたので他の二人にはあまり目を向けていませんでしたがこの男は不気味なほど痩せており、目の下にくっきりとクマが浮かんでいます。見るからに不健康そうな体であり、たまに咳き込んでいるため、なにかしらの病気を患っているのかもしれません。


「色々とお話を聞かせてください」

「けっ、誰が話すかよ! ぺっ」


 ノンが優しい口調で声をかけますが痩せぎすの男は一蹴した後、ノンへ唾を吐きました。もちろん、素直に受けるわけもなく、彼はひょいっと顔を傾けて避けます。


(んー、あまり時間もないし……あまりやりたくないけど)


「じゃあ、これを見てください」

「あ?」


 小さく息を吐いた後、ノンは包帯で近くに落ちていた人の頭ほどの大きさがある瓦礫を持ち上げました。そして、その瓦礫に包帯を巻きつけていきます。


「これがあなたの頭だと思ってくださいね」

「だから、何言って――」


 男の言葉を遮るように包帯に包まれた瓦礫が鈍い音と共に粉砕。包帯を解くとパラパラと小さくなった破片が通路へと落ちていきます。その光景を見ていた男は言葉を失い、地面に落ちていく粉々になった瓦礫を見つめていました。


「では、失礼します」

「ま、待て! まさか本気じゃないよな!?」


 ノンはそう言うと二本の包帯をゆっくりと男に向かって伸ばしていきます。瓦礫が砕けた光景を見ていた彼は顔を青ざめさせながら引きつった笑みを浮かべました。


「僕たちを知ってるってことは襲ってきた盗賊の最後も聞きましたよね。躊躇なく街道に置いてきた意味、わかりますか?」

「……おいおいおい! マジかよ!?」


 盗賊の情報を利用できるということは盗賊の末路も把握しているでしょう。たとえ、悪人だったとしても命を見捨てる。それは生半可な気持ちではできない行為です。しかし、ノンは王都に着くまで思うところはありましたが全ての盗賊を街道に置き去りにしました。それはつまり、ノンもその覚悟ができているということに他なりません。


 その事実に気づいた男は声を荒げます。ですが、残念ながらすでに時は遅く、ノンはにっこりと笑みを浮かべました。

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