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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第220話 探索

 どれほど歩いたでしょうか。王都の地下水道は入り組んでおり、何度も道を曲がったり、行き止まりにぶつかって道を引き返すなど思うように進めず、ノンも少しだけ焦り始めていました。


 ですが、その中でも気になったのがいくら歩いても地上に繋がる梯子がないことです。もし、その梯子が地下水道をメンテナンスするために使用されているのであればそれなりの数が用意されているはず。地下水道を歩いて目的地に向かうよりも地上で近くの梯子まで移動して降りた方が効率的だからです。


(もしかして梯子も消されてる?)


 建物や穴を思い出し、相手は物体を消したり出現させたりできるようでした。もし、事前に梯子を消されているとしたらノンたちは一生、地下水道から出られません。


 なにより、地下水道は同じような景色が続いているため、時間感覚も狂ってしまいました。そのせいで探索を始めてどれだけ時間が経ったのかわからなくなっている点も精神的ダメージを受けている理由の一つです。


「ノエちゃん、梯子以外に出る方法はあるの?」

「湖に水を捨てるための水路がある。そこからなら一応、外には出られる」

「うーん、それは最終手段だね」


 なにか打開策はないかとノエルに問いかけますがその返答にノンは思わず唸ってしまいました。外には出られるかもしれませんが王都の外壁の向こうでしょう。そこからノエルを連れて王都に戻るのは少し手間がかかりそうです。


「っと……ノエちゃん、止まって」

「また出た」


 そして、なかなか前に進めない理由にはもう一つありました。それはノンたちの前に現れた大きなネズミ、ビッグラットです。


 王都は多くの人が住んでいるだけでなく、王立魔法学校や冒険者ギルドがあります。そのため、王都では常に魔力が蠢いており、その一部が地下水道で魔物を生み出すきっかけとなっていました。幸い、魔物を形作る魔力はさほど多くないため、ビッグラットのような低級にすら届かない魔物しか生まれないようです。


 もちろん、ノンの敵ではありません。しかし、傍にノエルがいること。あの三人がいつ仕掛けてくるかわからないため、ビッグラットを相手にする時も常に周囲を警戒しなければなりませんでした。それが彼らの歩みに影響し、思うように前に進めなくなっているのです。


「ほっ」

「やっぱりすごい」


 ノンへと飛び掛かろうとしたビッグラットへ包帯を射出。その体を貫いて塵にします。その姿を見てノエルは感心したように感想を零しました。


「まぁ、ビッグラット程度なら……それよりも疲れてない?」

「一応、鍛えてるから大丈夫」


 フン、と鼻息を荒くしてアピールするノエルですがその顔色は地上にいた頃よりも悪く見えるのは気のせいではないでしょう。


「……あ!」


 せめて何か一つでも解決できないかと思考を巡らせ、閃いたノンはノエルから手を離してマジックバックを漁りました。そして、マーシャから貰った懐中時計を取り出します。カチリと音を立てて蓋を開ければ時刻は十七時を過ぎた頃でした。


「地下水道に落ちてから一時間くらい経ってるかな」

「結構、歩いてた。休憩、必要?」

「うん、そうだね。もしかしたら気づかない間に疲れてるかもしれないから少し休もう」


 ノンはそういうとマジックバックから二脚の組み立て式の椅子を取り出してノエルへと差し出しました。今は緊急事態なのでノエルにマジックバックのことがばれても使うべきだと判断したのです。


 しかし、彼女は小さな鞄から椅子が出てきたため、目をぱちくりとするばかりで受け取ろうとしません。


「……それ、マジックバック?」

「うん、そうだよ。ほら、これに座って」

「あ、りがとう」


 マジックバックの存在を知っていたノエルは驚きのあまり、ノンから椅子を受け取った後も少しだけ茫然とした様子で小さな鞄を見つめていました。

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