表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
224/292

第219話 地下水道

「くっ」


 王都の街路に開いた大穴。そこへ吸い込まれるように落ちたノンとノエルでしたがすぐに正気に戻った彼は真上に向かって右の包帯を伸ばします。しかし、包帯が地上に出る前にその穴が一瞬で塞がってしまい、包帯は冷たい天井にぶつかってしまいました。


「ノンくん、下!」


 上からの脱出は不可能。そう判断すると同時にノエルが悲鳴のような声を上げます。その声音から地面が迫っているのでしょう。ノンはノエルに巻き付けていた包帯を更に伸ばして真下に集めました。


「うおっ」


 ぼふっ、という音と共にノンたちは包帯のクッションになんとか落ちます。ノエルが教えてくれなければ今頃、大怪我を負っていたでしょう。


「ノエちゃん、大丈夫?」

「うん、大丈夫」

「よかった……でも、ここって」


 包帯のクッションからノエルも顔を出し、ノンはホッと安堵のため息を吐きます。そして、周囲を見渡して言葉を失いました。


 じめじめとした空気。時々、ぴちゃりという水滴が地面に落ちる音。トンネルのような道が続いていました。壁に掛けられているランタンに光が灯っているため、なんとか見えますがそれでも暗いことには変わらず、少しだけ不気味な空間が広がっています。


「王都にこんなところが……でも、王都って湖の中心にあるよね? 地下は水で満たされてるんじゃ」

「湖の水はこの下にある。ここはあくまでも王都に水を供給してる地下水道」

「地下水道……」


 ノエルの説明に彼は地下水道へと再び視線を戻します。道の中央には水路があり、それなりの量の水が流れていました。彼らが落ちたのはその水道の脇道だったらしく、もう少し中央に寄っていたら水路に落ちていたでしょう。


「でも、どうして穴が……それに建物も」


 いきなり消えた建物と穴。きっと、あの三人の誰かが仕組んだのでしょう。問題はその方法です。姿を隠したり、周囲の人が騒ぎに気づかなかったり、と不思議なことばかり起こっています。その方法がわからない限り、また不意を突かれてしまうでしょう。


「地下水道ってどんな構造なの?」


 そして、問題は他にもあり、地下水道からの脱出です。ノンは王都の地図を見ているため、ある程度の地理は把握していました。しかし、地下水道内は全くの初見。地上に出る方法すら知りません。


「どこかに地上に繋がる梯子があるはず。でも、場所まではわからない」

「そっか。じゃあ、ゆっくり探そう」


 王都が初めての割に水道に詳しいノエルも地上に繋がる梯子の場所までは知らないようです。ですが、梯子の存在を知れただけでもありがたいため、ノンは彼女の手を握って地下水道を歩き始めました。


「そういえばノエちゃん」

「ん?」

「あの人たち、ノエちゃんを狙ってたけど心当たりはある?」


 ノンはノエルが人攫いに遭ったのは運が悪かっただけだと思っていました。しかし、部屋にいた時にいつの間にか寝ていたことや先ほどの態度から彼女を攫ったのは何か目的があったからでしょう。


「……一応。でも、目的そのものは不明」

「えっと、狙われる理由はあるけどあの人たちの目的はわからないってこと?」


 ノンの言葉に隣を歩くノエルはコクリと頷きました。例えば、彼女の貴族としての立場を利用し、高額の身代金を要求する。そんなありきたりな理由は思いつきますが奴らから直接、話を聞いたわけではないので推測の域を越えられません。


(それにそんな単純な話だとは思えない)


 不思議な現象。ノエルを狙う理由。そして、ノンたちを地下水道に落とした狙い。その全てが不明であり、ノンはノエルの手をしっかりと握って慎重に地下水道を進みます。この先に待つであろう何かを警戒しながら。

感想、レビュー、ブックマーク、高評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ