表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
223/298

第218話 逃走

「やっぱり見た目通りのクソガキじゃねぇな」


 ノンの声に周辺からあの路地裏で倒した三人組がベンチを囲むように姿を現しました。しかし、彼らは茂みや物陰からではなく、突然、何もない空間から出てきたのです。


(何かの魔道具?)


 魔力感知で存在を察知できましたが肉眼では見えませんでした。おそらく、特殊な魔道具で姿を消していたのでしょう。ノンは包帯を袖からいつでも射出できるように準備します。


「ノンくん……」


 ノエルはノンの後ろへと体を隠しました。これまで人攫いに遭ったとは思えないほど楽しそうに過ごしていましたが自分を攫った奴らが現れたせいで怯えてしまったようです。


「さっきはよくやってくれたな……と、言いたいところだが俺たちも急いでるんでな。その娘を渡してもらおうか」

「嫌です」


 リーダーと思われる男の言葉を否定しながらノンはちらりと周囲を見渡しました。ここは西区の露店街。たくさんの人が行き交っているのに誰もノンたちを気にしている様子はありません。


「おっと、助けを求めるのは止めておいた方がいいぜ?」

「……」


 何をされたのかはわかりませんが目の前に立つ男たちの仕業のようです。路地裏の一件で彼らはそこまで強くないのは明白。しかし、まだ何か隠している可能性があるため、迂闊に動くことができませんでした。


「さぁ、その娘を寄越しな。さもなくば痛い目に遭ってもらうぜ」

「……ノエちゃん、捕まって!」

「がってん」


 男が何かを取り出そうとした瞬間、ノンは左の包帯をノエルに巻き付けました。そして、ノエルが彼の腰にしがみつくと同時に右の包帯を近くの街灯へと射出。街灯を掴むと一気に縮めてその場を離脱し、街灯の上に着地しました。


「なっ、やっぱり魔道具か! お前ら、捕まえるぞ!」

「ああ!」


 そんな彼らを睨みつけたリーダーは仲間の二人に指示を出し、ノンが着地した街灯に向かってきます。もちろん、ノンも黙って見ているわけではなく、ノエルの腰に腕を回しつつ、街灯から建物の屋根へと跳び移りました。


「おお、ノンくんすごい」

「舌を噛むからあまり喋らない方がいいよ! このまま騎士団のところに行く!」

「はーい」


 緊張感のない返事を聞いたノンは建物の屋根を駆け、北区へと向かいます。露店街を回っている間に王都の地図を再確認し、騎士団が拠点としている建物の場所を把握しておいたのです。


「くそ、待て!」


 リーダーの男も建物の屋根に登ってきましたが魔力循環で肉体強化しているノンには敵わないらしく、その距離は少しずつ離れていきました。


(他の二人は……駄目か)


 問題なのは姿の見えない二人です。魔力感知で周囲を探りながら走っていますが王都はどこでも人が多いため、上手く探せませんでした。


 それからノンは屋根から屋根へと跳び移り、北区を目指します。その間、ノエルは絶叫マシンに乗っている感覚なのか楽しそうに声を上げて笑っていました。


「ッ! 見えた!」


 魔力循環による肉体強化をフルで活用すること十数分。ノンはやっと西区を抜け、北区へ。そして、騎士団が拠点にしている大きな建物を視界に捉えます。このままその建物に飛び込む勢いで建物の屋根を蹴って――突然、足場にしていた建物が消失しました。


「しまっ」


 跳躍する直前に足場が消えたせいでノンはバランスを崩し、ノエルと共に下へ落下。このままでは街路に叩きつけられてしまいます。


「え!?」


 そう思いながらなんとかしようと下を見ましたが何故かそこには都会にはふさわしくない大穴が開いていました。その奥は闇に包まれ、先に何があるのかわかりません。驚きのあまり、咄嗟に動けなかったノンは地面に着地することもできずにその穴へと吸い込まれるように落ちていきました。

感想、レビュー、ブックマーク、高評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ