第214話 騎士団
「ん?」
冒険者や魔法、これまでしてきた旅について色々と話していると前方の方が騒がしいことに気づきました。魔力感知で探ってみますが騒ぎの中心にそれなりの人間がいるようで状況を把握しきれません。少なくともアレッサの魔力は感じなかったため、彼女は今もどこかで走り回っていることでしょう。
「ノエちゃん、こっち」
「ん?」
このままだと騒ぎに巻き込まれてしまいそうだったため、ノンはノエルの手を引いて狭い路地へと入ります。ノエルもノンについていくスタンスは継続中のようで特に何も言わずにとことこと彼の後に続きました。
「お話に夢中になるのもいいけど、そろそろ王都観光しない?」
「おー、そうだった。ノンくんとのお話が楽しくて忘れてた」
「そうだと思った。南区は基本的に住宅街みたいだから別のところに行こうか。えっと……」
事前にマーシャから聞いた話では西区は露店が有名。南区は住宅街。北区は貴族の家が多く、あまり入らない方がいい。東区は鍛冶屋などの冒険者たちが多く集まっているとのことでした。
きっと、ノエルのおうちは北区にあると思いますが彼女を探している人に見つかった時点で観光は終了。彼女のためにも北区に向かうのは最後の方がいいでしょう。
しかし、東区は冒険者に憧れているノエルにとって面白いものがたくさんあると思いますが西区よりの南区にいる今、子供の足で歩いて向かうには少し遠いです。
「……あ」
どこに行こうか悩んでいるとふとノエルを探している貼り紙のことを思い出しました。あの貼り紙を貼った男性二人はノエルの関係者とみて間違いないでしょう。しかし、ノエルを見つけた時の連絡先は『騎士団』を指定されていました。
騎士団。街の治安を守るために配属される憲兵とは違い、貴族や王族などを警護するのが主な仕事となるエリート集団です。確か、アレッサの弟も騎士に憧れており、騎士学校に通っているとアリスが言っていました。その観点から見てもノエルはやはり貴族の生まれなのでしょう。
「もしよかったら西区に戻って色々とお店を見てみる?」
「うん、そうする」
「あ、お腹空いてる? ついでにおやつにしようか」
時刻はお昼を超え、十四時頃。ノンは冒険者ギルドでアリスと話している間、茶菓子を食べていなかったため、お昼ご飯を食べ損ねていました。一応、買い物した時におまけを貰ってちょっとだけお腹を満たしましたが育ち盛りの彼にはそれでも足りません。特に魔力循環は肉体を強化する代わりにカロリーをいつも以上に消費するのでノンは子供の平均以上に食べます。露店街を回るついでにお腹を満たしておきたいところでした。
「うん、お腹空いた」
ノエルも人攫いに遭ったせいでお昼ご飯を食べていなかったのでしょう。ノンの提案に素直に頷きます。
「じゃあ、買い食いしようか。ノエちゃん、食べたいものある?」
「おにく」
「お肉かー。串焼きとかあったと思うからまずはそれを買って食べよう」
「わーい」
ノンとノエルは南区の路地を抜け、西区へと戻りました。
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