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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第207話 分岐点

 それからノンはギルド内を歩き回り、適した掲示板を探していました。ですが、ノンの身長が低いせいもあり、掲示板の貼り紙を読むのに苦労してしまい、なかなか目的の掲示板を見つけられません。


「すまない、退いてくれ!!」

「わっ」


 その時、キョロキョロと周囲を見渡していたからでしょうか。後ろから慌てた様子で二人の男性が走ってくるのに気づかず、ノンは背中を押されてしまいます。咄嗟に魔力循環を強めて脚力を強化し、踏ん張ることで転倒を避けました。


「ごめんね!」

「あ、はい……」


 ぶつかった男性はノンに一言だけ謝った後、再び走り出してしまいます。その慌てっぷりにノンは茫然としてしまいました。


「おい、この掲示板じゃないか?」

「ああ、そうだ! お前も貼れ!」


 走ってきた二人の男性は一つの掲示板の前に立ち、ざっと貼られている紙を読んだ後、数枚の貼り紙を鞄から取り出して乱暴に貼っていきます。


「これでよし! じゃあ、次は北区だ!」

「おう!」


 貼り紙を貼り終えた彼らはその様子を見ていたノンの横を通り過ぎてギルドを出ていきました。そのあまりの剣幕に彼らが貼った掲示板が気になり、ノンはちょこちょこと駆け足でその場所へと走り寄ります。


「……あ」


 彼らが貼った貼り紙を読んでノンは思わず声を漏らしてしまいました。その貼り紙は人探しのそれだったのです。


(えっと、幼い女の子? 髪は肩ほどで淡いピンクが混ざった金色。見つけたら騎士団まで連絡を、か。うーん、やっぱり、ファンタジー世界だから色々な髪の色があるんだなぁ)


 貼り紙を読みながらノンはどこか場違いな感想を頭に浮かべました。金髪はともかく、父親のジェードは炎のように真っ赤であり、オウサマは溺れそうになるほど澄んだ青などこの世界の住人たちは前世では染めなければ見ることのなかった髪色を持っています。


「僕は黒なんだけどね」


 少し伸びてきた前髪を指で摘まみながら呟き、改めて掲示板に貼られた貼り紙を読んでいきました。やはり、他の貼り紙も人探しのものが多く、目的の掲示板はここのようです。


「……」


 周囲を見渡し、誰もノンに注目していないことを確認。そして、こっそり包帯で自分の体を持ち上げてさっと掲示板に貼り紙を貼りました。


「これでよしっと」


 貼り紙がきちんと貼られているのを確認し、床に降ります。アレッサは王都に家族がいる可能性が高いと言っていましたが彼はそこまで現実を信じていませんでした。最悪を常に意識して行動する。それがノンの信条です。


「……」


 王都に家族がいればそれでよし。むしろ、いない場合のことを考え、きちんと準備をしておく。そうすれば予期せぬ事故が起こっても対処できるかもしれません。もう、何もできないまま、何もできなくなるのは嫌ですから。


「よし」


 ノンはもう一度、自分が貼った貼り紙を見て頷いた後、マーシャのところへ向かいます。






 しかし、包帯を使ってこっそり貼り紙を貼ったからでしょうか。ノンはこの時、自分が貼った貼り紙が少しだけ他の貼り紙に重なっていることに気づきませんでした。ですが、もし気づいたとしても彼はきっと直さなかったでしょう。重なり具合から重なってしまった貼り紙を乱暴に外さない限り、ノンの貼り紙が外れることはないと考えたからです。


 それでも、きっと彼はこの事実を知れば考えてしまうでしょう。もし、この時、貼り紙をもっと見ておけば違った未来があったのだろうか、と。


 でも、現実は――彼が辿る道は一本しかありません。そんな『たられば』を考えても無駄であり、ノンもこの事実を一生涯、知る機会はなかったのです。




 ■う、■ってい■■は■った一■。こ■世■■■一■で■る■■■■■。■だ■■ので■■ら。

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