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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第195話 悪名

「こっちは忙しいんだ。さっさと故郷へ帰りな」

「そんな……」


 門番の男は完全にノンたちを見下し、興味を失ったようにシッシと手で追い払う仕草をしました。まさかここで止められるとは考えもしなかったマーシャは目を見開いて言葉を零します。


「……」

「ん? なんだ、文句あんのか?」


 そんな中、アレッサだけはジッと門番を見ており、その視線に気づいた男が首を傾げました。


「もしかしてニック?」

「はぁ!? なんでお前がオレの名前を……」

「まぁ、久しぶりだからな。私のことがわからないのも無理はないか」

「何言って……って、おい、それ寄越せ!」


 アレッサに名前を言い当てられたからか、門番の男――ニックは動揺した後、慌てた様子で彼女の手から冒険者カードを奪い取ります。そして、どんどんその顔を青ざめさせていきました。


「お、おおおおま、お前……まさか!?」

「久しぶり、元気してた? あれ、でもなんであなたがこんな門番を? 魔法学校は?」


 どうやら、アレッサとニックは知り合いだったようです。しかし、平常運転なアレッサに比べ、ニックは手に持っていた槍の矛先を彼女に向け、警戒し始めました。


「そんなことどうだっていい! どうして、帰ってきた!」

「だから、護衛だってば。あと、王都で色々用事があって」

「嘘つけ! また王都で暴れるつもりだろ!」

「いや、そんなことしないって……冒険者カードを調べてよ。犯罪歴もないわ」

「その隙に俺を殺して中に入るつもりだな! 絶対に通さないぞ!」

「おい、ニック。どうした、そんなに騒いで」


 彼女たちの過去に何かがあったのでしょうか。アレッサの言葉を信用しようともせず、警戒を解かないニック。そんな風に騒いでいたからでしょうか、他の門番が様子を見に来ました。


「おい、マジカルヤンキーだ! マジカルヤンキーが帰ってきた」

「マジカルヤンキーだって?」

「あ、よかった。ねぇ、あなたが冒険者カードを調べてくれない? 犯罪歴なんてないってば」


 聞く耳を持たないニックに嫌気が差していたアレッサはホッとしたように様子を見にきた門番に冒険者カードを渡そうとします。


「お、おい! 応援を呼んで来い! 絶対に中に入れるな!」

「え、ちょ」

「たとえ犯罪歴がなかったとしてもお前を王都に入れるわけにはいかない!」

「えぇ……」


 アレッサが王都を去ったのは約五年前。しかし、今もなお、彼女の悪名は根強く残っているようでした。このままでは応援を呼ばれ、無数の門番に囲まれてしまうでしょう。


「……じゃあ、ノン、マーシャ後はよろしく」

「へ?」


 数秒ほど考えた後、アレッサはノンとマーシャに声をかけて突然、ニックたちへと肉薄――そして、魔力循環で肉体を強化して人間離れした跳躍を披露してニックたちを跳び越えました。


「は?」

「お、おい! マジカルヤンキーが王都に侵入した! 早く憲兵に連絡しろ!」

「は、はい!!」


 応援に来た門番に指示され、ニックはどこかへと走り去っていきました。ノンとマーシャもアレッサの突然の行動に茫然とするしかありません。


「えっと、順番待ちしてた方ですよね? 身分証明書はありますか?」


 どうやら、ニックの代わりに門番の仕事をするつもりのようです。彼はノンとアレッサが一緒に荷台から出てくるところを見ていないのでアレッサと知り合いだとは知らず、普通に接してきました。


「え、あ、はい……どうぞ」

「ありがとうございます。へぇ、その歳で冒険者に……うん、冒険者カードは本物だし、犯罪歴もないね。通っていいよ」

「あ、ありがとうございます……あ、今回はこちらの商人さんの護衛でしたので彼女と一緒に入ります」

「わかった。じゃあ、そこのお嬢さんも身分証明書をお願いします」

「ど、どうぞ……」


 その後、荷台の荷物を検閲した後、門番は二人に王都へ入ることを許可します。こうして、ノンとマーシャは困惑したまま、西門を潜り抜けます。

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