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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第193話 連携

 白いドームの中で一夜過ごした三人はいつもよりも早く朝の支度を済ませ、王都を目指して出発しました。しかし、アレッサは昨日よりも複雑そうな表情を浮かべています。


「ノン、昨日って盗賊は来なかったのよね?」

「はい、魔物は数体ほど来ましたが盗賊はいなかったと思います」


 マーシャにばれてまでも白いドームの使用を許可したのは昨日と同じように盗賊が襲ってきた時のために体力を回復しておきたかったからです。しかし、昨晩は白いドームに魔物が数体ほどちょっかいを出しただけであり、盗賊は襲ってくるどころか接近すらしてきませんでした。


「王都が近いからでしょうか?」

「その可能性は高いけど……なら、昨日の昼間に襲ってきた理由がわからないわ。盗賊同士で連携なんてしてない、待って」


 マーシャの疑問に答えようとした彼女でしたが、その途中で何かに気づいたのでしょう。言葉を区切って目を見開きました。


「もしかして、王都周辺の盗賊たちは連携してる?」

「連携ですか?」

「そう、盗賊は基本的にアホよ。王都に向かってる私たちを見て何も考えず襲ってくるの」


 ノンたちは見た目だけなら女二人と子供のパーティーです。盗賊からしたら格好の獲物。ほぼ毎晩のように襲ってきたのがその証拠です。


「でも、ここはすでに王都の近く。私たちが出発した街はわからないでしょうけど、ここまで無事に旅を続けてる時点で怪しいって思う盗賊がいた場合、どうなると思う?」

「それは……私たちが生き残ってる理由があるって考える?」

「そう……だから、様子を見る。遠くから私たちを観察するはずよ」

「あっ」


 アレッサの言葉にノンは一つ思い当たる節がありました。一週間ほど前、頭を過ったピリッとした嫌な感覚です。


「……へぇ? ノン、ちょっと殺気を感じ取れるようになってきたんじゃない?」


 それを聞いたアレッサはどこか嬉しそうに笑いました。この旅の間、アレッサはわざとノンへ殺気を飛ばし、それを感じ取れるようにする修行をしていたのです。その成果として遠くでノンたちを観察していた盗賊の殺気を感じ取ったのでしょう。


「じゃあ、短くても一週間前から私たちのことを見てたんですね……」

「ええ、そうなるわ。そして、その情報を周辺の盗賊に流した。だから、昨日襲ってきた盗賊は私たちの戦い方を見ても驚かなかったの」

「でも、どうして襲ってきたんですか? 僕たちが強いってことを知ったら逆に襲ってこないと思うんですが」

「情報を聞いてそれでも勝てると思ったのか……あそこで私たちを襲わなきゃならない理由があったのか。それはわからないわ」


 残念ながらそれ以上は今持っている情報から推測するのは難しく、アレッサは首を横に振ります。とにかくわかっていることは王都周辺の盗賊にノンたちの情報が洩れていることだけでした。


「マーシャ、ちょっと急いで。できるだけ早く盗賊の動きがおかしいって王都の冒険者ギルドに報告したいわ」

「わかりました。カーブ、行くよ!」


 マーシャは頷いた後、カーブに声をかけて馬車の速度を上げます。そして、周囲を警戒するためにノンは荷台の屋根へ。アレッサは荷台の後方に陣取りました。


「あ、見えてきました!」


 それから数時間ほど馬車を走らせ、唐突に屋根の上にいたノンが声を上げます。その視線の先には大きな街。そう、あれこそ彼らが目指していたブレゾニア王国の王都です。


「ノン、周辺に魔力反応は!?」

「ありません!」

「よし、じゃあ、このまま王都へ行くわ!」

「わかりました!」


 アレッサの指示でマーシャは更に馬車の速度を上げて王都を目指します。


 これまでののんびりとした旅とは裏腹にその終わりはとても慌ただしいものとなりました。

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