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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第192話 不穏

 銀色に輝く一閃が日差しを反射し、キラリと輝く。しかし、それを見た魔法使いは目を細めた後、ひょいっと体を半身にして回避しました。


「よっと」


 そして、そんな軽い言葉と共に放たれたのはやろうと思えば人を殺せる拳の一撃。それを受けた盗賊は息を吐く間もなく白目を向き、気絶してしまいました。


「こいつで最後ね」


 面倒臭そうにため息を吐いた後、地面で転がる盗賊たちを一瞥してアレッサは傍にいたノンに声をかけます。


「はい、周辺には誰もいません」

「そう……しっかし、昼間でも問答無用で襲ってくるなんてよほど余裕がなかったのかしら?」


 そう言いながら彼女はノンに手を差し出しました。そして、それを見る前から用意していたロープを乗せるノン。すでに一か月以上、一緒に行動している二人だからでしょうか、もはや言葉もなく、お互いの考えを読めるようになっていました。


「お疲れ様です。飲み物用意しておきましたー」


 そんな彼らにマーシャが馬車の荷台から降りつつ、声をかけます。彼女もノンとアレッサの実力を知ってからは魔物や盗賊が現れても動揺することもなく、普通に荷台へ引っ込むようになりました。


「ええ、ありがとう」

「それにしても……すごい数ですね」


 マーシャが言うように襲ってきた盗賊の数は軽く十人を超えています。旅を始めて三週間ほど経ちましたがこれまでで一番多い人数で襲ってきました。


「……」

「師匠、何か気になることでも?」


 三人で手分けして縛っていく中、思考顔のアレッサを見た彼は思わず質問してしまいました。地味な作業をしている間、普段の彼女なら仏頂面を浮かべていることが多いからです。


「そうね……こいつら、動揺してなかったと思って」

「動揺?」


 その言葉にマーシャが顔を上げました。荷台に隠れていたため、彼らの戦いを見ていなかったからでしょう。


「ノンも私も戦い方そのものが初見殺し。これまでの盗賊たちも驚いてほとんど反撃する間もなく倒せたわ。でも、こいつらはノンの包帯や私の戦闘スタイルを見て特に反応しなかった」

「あ、確かに」


 ノンも思い当たる節があったらしく、包帯を使って縛った盗賊を街道へ運びながら頷きます。


「それにこんな王都に近いところで大人数で襲ってきたのも気になるわ」

「え、どうしてですか? 王都で襲って金品を奪った方がすぐにお金にできそうですけど」

「その分、王都の憲兵や冒険者に見つかりやすいからよ。王都周辺で盗賊の被害が出れば調査されるし」


 マーシャの質問にアレッサが淡々と答えました。現在地点は王都の近く。順調にいけば明日にでも王都が見えるほどの距離です。そんな場所で盗賊が暴れていたらすぐに噂が流れ、その真相を突き止めるために憲兵や冒険者が動くでしょう。


「つまり、盗賊は街の付近では襲わない。リターンよりもリスクの方が大きいからよ」

「じゃあ、この人たちはどうして僕たちを襲ってきたんでしょう」

「だから変だって思ったの。私たちの戦い方を知ってるようだったし、王都の近くで襲ってきたし」


 アレッサの言葉をきっかけに全員の視線が地面で倒れ伏す盗賊たちに向きます。全員、気絶しているため、今すぐに話は聞けず、起きたとしても素直に話をしてくれるとは思えませんでした。


「……先を急ぎましょう。嫌な予感がするわ」

「わ、わかりました! 馬車の用意をしてきます!」

「ええ、よろしく。ノン、今日はあれを使っていいわ」

「あれ?」

「白いドームよ」




「な、なななななんですかこれ!? え、見張りの必要なし? 魔物も盗賊も入って来ないし、外に出なくても反撃できる!? はああああ!?」


 この日の夜、初めて白いドームを見たマーシャは更にノンの利便性を知り、駄目にされてしまいました。

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