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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第189話 再出発

「じゃあ、出発しますよー」

「はーい」

「……ふわぁ」


 マーシャの初めての商売が成功した次の日、一日遅れで村を出発した御一行ですが、アレッサは眠そうな顔でノンとマーシャを見ていました。


「あれ、師匠。どうしたんですか?」

「元気だなーって……先は長いんだから疲れない程度に騒ぎなさいよー」


 『じゃあ、寝る』と彼女は荷台に引っ込んでしまいました。そんな彼女を御者台に座った二人は呆れた顔で見送ります。


「アレッサさん、呑みすぎなんですよ。二日酔いを治す魔法があるからって……」

「そうですよ、まだ若いのに肝臓がやられちゃいます」

「ねー」

「ねー」

「うっさいわね! どんだけ仲良くなってんのよ!」


 うがー、と叫んだマジカルヤンキーを前にノンたちは楽しそうに『きゃー』と悲鳴を上げました。旅を始めて一週間以上経ち、二人はすっかり仲良しになったようです。昼間、アレッサが寝ている間、ずっとお話をしていたからでしょうか。


「いいから、私は寝るからね。何かあったら起こしなさいよ」

「はーい」


 ノンの気の抜けた返事にアレッサは面倒臭そうにため息を吐き、今度こそ荷台に消えていきました。そんな彼女を放置してノンはごそごそとマジックバックから地図を取り出してマーシャにも見えるように広げます。


「今日はどこまで行きますか?」

「んー、この辺かな? 近くに川もあるし、カーブの調子も確かめなきゃならないから」


 マーシャが指さしたのは村から数時間ほど移動した先にある広場でした。これまで一日に移動した距離よりも短いです。三日間、村で休息を取ったとはいえ旅の途中。特に馬のカーブは不調だったとしても言葉で訴えられないため、細心の注意を払わなければなりません。


「わかりました。じゃあ、屋根の上にいますので何かあったら呼んでください」

「眠たくなったら呼ぶね」

「了解です」


 マーシャの言葉に頷いたノンは御者台から屋根に跳び乗り、立ったまま遠くを見据えます。


 街道がどこまでも続くのどかな平原。しかし、魔力感知で気配を探れば茂みに小動物らしき魔力を感じ取れました。また、右手に見える森にはいくつかの魔力反応。その正体まではわかりませんが忙しなく動いていることから誰かが魔物と戦っているのかもしれません。


(助太刀は必要なさそうかな)


 村が近くにあるため、暇を持て余した冒険者が村人の手伝いとして一緒に森へ行くことがありました。もちろん、冒険者ギルドは村にないため、正式な依頼ではありませんので冒険者ランクに貢献できなかったり報酬にばらつきが生じるデメリットはあります。しかし、村がなくなれば休息ポイントがなくなってしまうからでしょう。冒険者は積極的に村人の依頼を受けるそうです。持ちつ持たれつとはこういうことを言うのでしょう。


「んー……はぁ」


 魔力感知を発動しながらノンは背伸びをしながら空を見上げます。今日は雲一つない快晴。ポカポカとした日差しが眠気を誘ってきます。そんな日差しを浴びながらノンは馬車に揺られ、王都を目指します。

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