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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第185話 寄り道

「あ、見えてきましたよ!」


 マーシャの故郷を出発して一週間ほど経った頃、御者台に座っていたマーシャが嬉しそうな声で荷台にいるノンとアレッサに声をかけました。その声を待っていた二人も荷台から顔を出して正面の景色を見ます。


「あれが目的の街ですか?」

「街っていうより村だけどね。王都に行く前によく立ち寄られる村よ」


 マーシャの故郷と王都は普通に旅をすれば二週間――魔物や盗賊によってその倍の一か月ほどかかってしまうほど距離です。実際、ノンはレニックスからマーシャの故郷まで移動した時よりも時間がかかっている印象を受けていました。


 そんな長い期間を補給なしで一気に移動するのはマジックバックがなければほぼ不可能です。そのため、王都に向かう前に途中にある町や村に寄って休息や物資の補給を行うのが当たり前でした。そんな寄り道を強いられるのも王都まで一か月かかってしまう原因の一つです。


 少し進路から外れて辿り着いた村はそこまで大きくはありませんが冒険者の姿が多く、それなりに栄えているようでした。ノンたちは入り口で警護している武装している男にそれぞれの身分証を見せて中に入ります。


「すみません、もしよかったらこの村に三日ほど滞在してもいいでしょうか?」

「え? なんで?」


 馬車を停める場所があると見張りの男性に聞いたマーシャはそこに向かう途中でノンたちに許可を取りました。アレッサは補給のために寄っただけだと思っていたので少しだけ驚いてしまいます。


「実はこの街で売りたいものがありまして……その資金を使って商品を補充して王都で売ろうかと」

「ふーん、でもなんで三日?」

「そうですね……上手くいくかわからないので今は内緒ってことで。あ、ノン君、ちょっと手伝ってもらってもいい?」

「え、僕ですか?」


 マーシャが何を企んでいるのかわからず、ノンとアレッサは顔を見合わせてしまいます。




「もしかしてこれを売るんですか?」

「そうだよ。ノン君には小さくカットして欲しいの。包帯でできる?」

「それはできますけど……ただの銅板ですよね?」

「そうだよ」


 村の偉い人に許可を取り、道端で商売できるようになったノンとマーシャは数枚の大きな銅板を所定の場所に運んでいました。どうやら、彼女はこの村で銅板を売るそうです。


「あ、ここだね」


 詳しい話を聞こうと思いましたがその前に指定された場所に到着したようでマーシャは慣れた手つきで商売の準備を進めていきました。因みにアレッサは一人で物資の補給です。きっと、それが終わったら宿の部屋で仮眠を取ることでしょう。


「じゃあ、ノン君、この銅板を細切れにして」

「こ、細切れですか!?」


 商売の準備が終わった直後、一枚の銅板をノンに渡すマーシャ。カットして欲しいと言われましたがまさか細切れにするほどとは思わず、ノンは目を見開いてしまいます。


「あ、もしかしてあまり包帯を使うところ、見られない方がいい?」

「いえ、包帯自体は隠してるわけじゃないので……じゃあ、やりますよ?」

「うん、お願い」


 戸惑いながらもノンは包帯をある程度伸ばして硬質化。剣のように鋭くさせた後、銅板を真上に投げます。くるくると回転しながら落ちてくるそれを跳躍して目にも止まらぬ速さで細切れにしました。このままではマーシャに細切れになった銅板が降り注ぐのでその前に反対側の包帯を器の形にして受け止めます。


「えっと、これで――」

「――おー、おちびさん、すごい早業だったな! 今のどうやったんだ!」

「へ?」


 その時、今の一部始終を見ていた鎧姿の男性が興奮したようにノンに話しかけてきます。それを見たマーシャがニヤリと笑いました。

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