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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第176話 マイペース

「お待たせしました」

「おかえりー」

「……」


 さくっとアースゲーターを倒したノンは馬車へと戻ってきます。屋根に腰掛けたアレッサが手を振って出迎えますがマーシャはあんぐりと口を開けて茫然としていました。彼が銅級の冒険者だとは聞いていましたがアースゲーターを一方的に倒せるほどの実力者だとは思っていなかったのです。


「の、ノン君……今のって」

「企業秘密です!」


 手の内を晒すなと教えられたノンは悪戯が成功した子供のように笑い、馬車の屋根へと跳び乗り、御者台へと移動しました。その常識離れした身体能力を見て彼女は先ほど見た光景は幻ではなかったのだとやっと理解します。


「ね、私たちに任せておけば大丈夫でしょ?」


 そんな彼女へいつの間にか荷台に戻っていたアレッサが得意げに声をかけました。自分の未来を託した二人が想像以上に強いことを思い知ったマーシャはこくこくと頷くことしかできません。


「でも、やっぱり魔法の無効化(ジャミング)は卑怯よねー。魔物相手でも通用するとは思わなかったわ」

「魔力だったら吹き飛ばせますからね」

「でも、さすがに真正面に立つのはどうかと思うわ。魔法をキャンセルして爪とか牙で襲ってきたらどうするつもりだったの?」

「その時は――」


 驚愕のあまりリアクションを取れないマーシャを置いてノンとアレッサは先ほどの戦闘の反省会を始めてしまいます。そんな二人を見て彼女は本当に師弟関係なのだとどこか他人事のような感想が頭に浮かびました。そして、その思考を遮るようにカーブがブルルと鼻を鳴らします。


 今もなお、馬車は走りっぱなし。御者である彼女が思考停止していたら事故に繋がるかもしれない。それをカーブが本能で感じ取り、マーシャを正気に戻そうとしたようです。


「はっ……あ、あの!」

「ん? どうしました?」


 カーブのおかげでやっと正気に戻ったマーシャは慌てて手綱を握り直し、ノンとアレッサへ声をかけました。何だろうと首を傾げながらノンが彼女へと視線を戻します。


「あ、アースゲーターは遠い森の方から出てきましたよね!? なんで、事前に察知できたんですか!」


 無垢な顔をしながら先ほどアースゲーターを瞬殺した子供。そのせいで敬語に戻ってしまいましたがなんとか質問することができました。


 ノンとアレッサはアースゲーターが森から顔を出す前からすでに動き出していました。つまり、奴が森の中にいる状態でその存在を知っていたことになります。


「魔力感知です」

「殺気よ」


 その質問にノンとアレッサは同時に違う答えを口にしました。そして、ノンが『え!?』と表情を浮かべます。


「師匠、殺気でわかったんですか? 全然わかりませんでした」

「むしろ、どうしてあんな遠くまで魔力感知の範囲が届くのよ……私としてはそっちの方が驚きだわ」

「私からしたら二人ともおかしいですよ!!」


 お互いに驚く二人を見てマーシャは堪らず大きな声でツッコんでしまいました。


「なら、今度は殺気を感じ取る練習をしましょ」

「そうですね、お願いします」

「ちょっと不安になってきた……」


 そんな彼女を放置して二人はまた作戦会議に戻ってしまいます。マーシャはマイペースな護衛に小さく呟いてしまいました。


 アレッサが戦う姿を見たわけではありませんが銅級のノンがあれだったのです。彼女も考えられないような戦い方をするのだろうと何となく察してしまいました。


 そして、その答えは意外にもその日の夜に判明します。

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