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英雄くんはおうちに帰りたい  作者: ホッシー@VTuber
第三章 英雄くんは王都へ行きたい
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第175話 土鰐

「あ、あれはアースゲーター!?」


 御者台からも大きな鰐に似た魔物が見えたのでしょう、マーシャは目を見開いて悲鳴のような声を上げます。


 土魔法を得意とする鰐の魔物――アースゲーター。奴はアレッサのアドバイス通り、土魔法を多用し、岩石を飛ばしてきます。また、岩石を潜り抜けて接近したとしても鋭い爪と牙で切り裂かれてしまう、遠距離でも近距離でも苦戦する厄介な相手でした。


 なお、鰐に似た姿をしていますが水辺は好まず、森の中で土に潜り、近くを通り過ぎた獲物に噛みつく生態を持っています。少なくとも今のように森の中から興奮した状態で出てくることはほとんどありません。


「じゃあ、行ってきます!」

「え!? ノン君!」


 すでにアースゲーターは馬車を見据え、魔力を放出して魔法を構築しようとしています。それを魔力感知で察知したノンは勢いよく屋根を飛び出してアースゲーターへと突撃しました。


「ちょ、ちょっと! アレッサさん、大丈夫なんですか!? アースゲーターは銅級の冒険者でもソロで討伐するのは困難だと聞きました!」

「まぁ、ノンなら大丈夫でしょ」

「そんな……」


 マーシャは慌てた様子でアレッサに声をかけますが彼女は呑気にそう答えた後、屋根の上へと消えました。しかし、あの様子では遠距離から魔法で援護をするというわけでもなさそうです。


「ああ、もう……って、もうあんなところまで!?」


 アレッサの態度に焦り出す彼女でしたがちょっと目を離した隙にアースゲーターとの距離を縮めていたノンを見て驚愕してしまいました。もちろん、ノンは魔力循環を駆使して肉体を強化しているため、子供とは思えないほどの身体能力を発揮しています。


「やっぱり、大きいなぁ」


 マーシャに心配されていることに気づかず、アースゲーターの前に立ったノンは感想を口にしました。アースゲーターはそんなノンを一瞥して魔法の照準を彼に向けます。このままではあと数秒ほどで魔法が完成し、至近距離で巨大な岩石を放たれてしまうでしょう。


「おっと、それは駄目だよ」


 もちろん、それを許すノンではありません。右の袖から包帯の先端を伸ばし、小さな球体を作り、奴の頭上へ伸ばしました。そして、アースゲーターの魔法が完成する直前、包帯の球が膨張して魔法になりかけていた魔力を吹き飛ばしました。ノンが編み出した魔法の無効化(ジャミング)です。


「ッ!?」


 まさか魔法が無効化されるとは思わなかったのでしょう。アースゲーターは目を見開き、怒りに任せてノンへと噛みつきます。ノンはサッと後ろに下がることでギリギリ回避し、まだ浮かせていた包帯の球を一気にアースゲーターへと振り落としました。落ちた場所は奴の背中。


「―――――!!!」


 鈍い音と共にアースゲーターが痛みのあまり、大気を震わせるほどの声量で絶叫します。ですが、まだ戦意は失っていないらしく、フラフラとしながらもノンを睨んでいました。


 しかし、そんなことをしている暇があったらノンへ攻撃を仕掛けるか、逃げるべきでした。すでにノンは左手をアースゲーターに向けていたのですから。


「ごめんね」

「ッ――」


 ノンはボソリと呟くとその小さな左手から包帯が飛び出し、アースゲーターの口内へと突き刺さりました。そして、そのまま尻尾の先まで貫き、数回ほど痙攣した後、アースゲーターは魔石へと姿を変えます。


「……」


 ノンはその魔石をすぐに拾わず、周囲を見渡しながら魔力感知で索敵を行います。先頭が終わった後が最も油断するから必ず周囲の様子を確かめろ、と口を酸っぱく言われていました。


「……ふぅ」


 アースゲーター以外に魔力を持つ存在がいないことを確認した彼は小さく息を吐き、包帯を使ってオークより大きくブラックオウルよりも小さい魔石を拾います。


 こうして、アースゲーターとの戦闘はノンの圧勝で終わったのでした。

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