第109話 目的
今回のお話しから第二章が始まります!
やっと、旅に出たノンは一体、どのような冒険をするのでしょうか。
これからも『英雄くんがおうちに帰りたい』をよろしくお願いいたします!
一年もの間、精霊の国で力を付けた男の子はおうちに帰る冒険へと出かけます。
しかし、彼はまだ六歳。その旅路は決して楽なものではありませんでした。
ですが、幼い英雄はその旅の中で仲間を得ます。
その中で最初に出会い、彼の師匠となる人物――魔法使いは少しばかり特別な魔法を使いました。きっと、誰にも真似できない、彼女だけの原初。
彼女はその魔法を好ましく思っていなかったようですが、その苛烈さ、美しさ、強さに魔法を使えない彼は憧れました。
そして、その憧れがあったからこそ、彼は英雄となれたのです。だって、前世で様々なものに憧れたまま、生涯を終えた彼にとってその高みに手を伸ばさない理由はなかったのですから。
この世界には多くの大陸があります。その中で最も大きい大陸――ハーニンド大陸。その大陸は人間の国と呼ばれていますが大陸全てが一つの国ではなく、人間が統べる国が数多くあるため、他の種族からそう認識されているだけでした。
「おー」
そんなハーニンド大陸の中で最大の領土を誇る国家、ブレゾニア王国の王都を目指しているのはつい先日、六歳になったばかりの幼い少年――ノンです。
前世の記憶を持つ彼は五歳になる直前まで家族に愛されながらすくすくと育っていました。決して幸福とはいえなかった前世。その分まで今世を生き抜こう。そう、心に決め、転生させてくれたであろう神様に毎日、感謝しながら生きていたのです。
しかし、精霊に好かれてしまう体質により、彼らによって精霊の国に連れていかれ、家族の元を離れてしまいました。
その国で精霊王であるオウサマ、妖精王のテレーゼと出会い、家族の元へ帰るために力を付けることにしたのです。その途中、幼い黒龍と戦うことになりましたが精霊たちと協力して無事に勝利。晴れて彼はその幼龍と友達になり、オウサマにも実力を認められたのです。
そして、精霊の国に来てから一年後、ノンは人間の国にあるおうちを目指して旅に出ました。今はテレーゼからもらったマジックバックを背負い、一番近い街を目指して街道を歩いているところです。
(出発して三日経つけど……今のところ、順調だ)
旅に出る前にオウサマと念入りに打ち合わせをしたかいもあり、トラブルに巻き込まれることもなく、目的地へ向かえています。
最初の目的地は王都。ブレゾニア王国で最も大きな街です。彼の家はそれなりに裕福だったこともあり、王都に住んでいた可能性が高く、そうでなくても大きな街なら情報も集めやすい。最初に目指すならもってこいの場所でした。
しかし、精霊の国が瞬間移動した場所は王都からそれなりに離れているため、いくつかの街を経由するつもりです。そして、彼が目指している街には冒険者ギルドがあるとオウサマは言っていました。
路銀は彼女からいくらか貰ったとはいえ、どれほどの旅路になるかわからない現状、お金を稼ぐ必要があります。しかし、まだ六歳のノンが旅をしながら安定した職に就けるわけもなく、最も可能性が高かったのが冒険者と呼ばれる職業でした。
冒険者。魔力が一定以上、一か所に集まると出現する魔物や護衛、時には災害時、避難誘導や瓦礫の撤去など雑務をこなす何でも屋です。
実力のある冒険者は高位のダンジョンに潜り、お宝を持ち帰ったりもしているそうですが、興味はありますが路銀さえ稼げればいいのでノンはダンジョンに入るつもりはありませんでした。
(でも、お父さんとお母さんと一緒の職業かぁ)
ノンの両親は実力のある冒険者だったらしく、彼の首から下げられているネックレスに付いている指輪――『吸魔の指輪』もダンジョン産の魔道具らしいです。図らずも両親と同じ職業に就くことになったため、少しだけ嬉しくなりました。
閑話休題。
つまり、ノンのこれからの予定は『王都を目指す』。そのために『冒険者ギルトのある街へ行き』、『冒険者となって路銀を稼げるようになる』。とりあえず、本格的に家を探すのはこの三つを達成してからとなります。
「よーし、頑張るぞー!」
街道を歩きながら改めて気合を入れ直すノン。そんな彼を茂みから兎に似た動物が『なんだあいつ』という目で見つめていました。
感想、レビュー、ブックマーク、高評価よろしくお願いします!




