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18コメ 旅の仲間〜前編〜

「アリィ……おんぶしてよ。」

「えぇ?エリオはもうそういう歳でも無いでしょ?少し休もっか。」

「まもなく日暮れです。今日の寝床を確保しないと。ちなみにココはやめた方が良さそうです。」

「むう。じゃあ、お姉ちゃんがなんとかしてあげよう。これからワガママ言うんじゃないよ?」

「アリィは優しい。アリィはかわいい。アリィは優秀。」

「あぁそういうのいいから。ほら、乗りな。」

「てか、おっさん。何か乗り物出せないの?」

「え?私…ですか。申し訳ないですが、そういった魔法術は持ち合わせてなくて……。」

「つかえな。」

「あはは……。」

隣の町へと向かうアリィたち。まだ旅は始まったばかりだ。


……ん?旅??

旅ってなんだ?前回そんな終わり方したっけ??

えーっと、えーっと……


よし、話を少し前に戻そう……。うん。


アリィの家。ミクが折り入って話があるという。

「アリィさん。ちょっと、聞いてもらっても良いでしょうか。」

「ん?何?」

「私のこと、少しだけ分かったことがあるんです。」

「ほう。あぁ待った待った。今お茶淹れるから。飲みながら話そ。」

「はい!」

そう言ってアリィは慣れた手つきで用意を始める。

ミクは少し緊張した面持ちで何を話すべきか、そもそも話して良いのかと自問自答をする。

だがいずれは話さなくてはならない。腹を括って、アリィと向き合う。


『ズズ…』


「……おいしい。」

「ベルリっていう果実が入ってるんだ。ほんのり甘酸っぱいけど飲みやすいんだよね。」

「ほんとです!」

「気持ちも安らぐ効果があるんだ。」

アリィはいわゆるフレーバーティーやハーブティーをコレクションするのが趣味であるらしく、家には多くのストックがあった。その中から今のミクにぴったりのものをチョイスした。


「で、話って?」

「アステルシア。」

「へ?」

「私の、本当の名前です。」

「ん!?ミクの……名前。」

「さっきの人たちも、私を探してましたよね。」

「やっぱ分かるんだ。」

「はい。」

「で?なんだっけ。アステ…。」

「アステルシア。この前私の中に声が聞こえたんです。『帰ってこい』って。どっかの国?の王様のような姿でした。」

ミクがあの夜一瞬だけ会った男性。王の風格に気圧される感覚が未だに残っている。


「へぇ。ってことは、ミクって……王女様!?」

「かもしれません。その時から魔力も解放されて。」

「すご。すごいじゃんミク!」

不安を募らせるミクをよそに、1人はしゃぐアリィ。

予想外の反応だったのか、声を詰まらせる。


「え、あ。そ、そうでしょうか?怖く、無いですか?」

「ぜんぜん!ふぁあ〜才色兼備とはこのことだね。」

「才色……そんなことは。」

「魔法使えるのはエリオも同じだしさ。ミクが、自分を取り戻してくれて私ぁ嬉しいよ。」

まだ完璧では無い。だが少しずつ戻って来ている実感はある。

そして、そんな自分を喜んでくれるアリィに暖かい気持ちになる。


「ありがとう、ございます。」

「どこの誰なのかはわからないんだ?」

「はい。」


『ガタガタガタァ』

『バタァン!』


突然ドアが勢いよく開かれる。咄嗟に戦闘を意識するミクとアリィ。

「何!?」


「あぁあ!助けてぇ!!!」

エリオだった。

一旦緊張が解れるが、様子がおかしいことに気がつく。


「な、エリオ?おかえり。」

「止めて!止めてぇ!!!」

「え、ちょ、どした!?」

「いいから、私にかかってる魔法術を解いてぇ!!」

「え??え??」

家に入っても行進を続けるエリオに戸惑うアリィたち。どうやらレイにかけられた『家に帰れ』という命令が解けないらしい。


「ミク、どうにかなる?」

「やってみます!」

そう言って動き続けるエリオに手のひらを向け、照準を合わせる。


「ぐ……!」

「……!」

「わぁあ!」


『ドサッ』


力一杯『解除』を念じる。

するとエリオの暴走が止まりその場で倒れ込む。


「大丈夫ですか!?」

「いつつ……ありがと。」

「どうしたのさ?」

「わかんない。緑色の魔法使いに。」

「緑色?」

アリィはふと家を尋ねて来た人を思い出す。緑色の装束に身を包み、ニコッと笑顔を貼り付けたような顔。


「それって、作り笑いのおじさん?」

「だったかも。そう!それで!!バローズ様が連れ去られたの。」

「バローズが?何で。」

「そこまでは分からなかった。でも国際魔法術連合の連中よ。そいつら、尋常じゃなく強い。」

「何か、ありそうですね。」

「魔法連の連中って、禁止魔法術の不正利用とかそういうことが無いと出てこない。しかもこんな田舎まで。」

「バローズが、不正利用した?」

「可能性はある。」

まぁ誰にでも『出来心』というものはある。バローズが何を思い行動したかは定かではないが石にされて連れて行かれたのは事実だ。


――


「ふんっ!」

『ブチィ』

『ドサッ』


「はぁっ!!」

『キャアン!』

『ドンッ』


――


「はっ……!」

「ん?どした?ミク。」

「はぁ……はぁ……森で、沢山の命が奪われてます。」

「命?人の!?」

「人ではありません。でも、森は悲しんでます。新たな命が、理不尽に奪われていくことが。」

ミクは心臓を抑え、目を細めて声を絞り出す。

これもレイの仕業なのか。この小さな田舎町で何が起こっているのか、アリィはまだ知る由もない。

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