12コメ 疑念
『ギィイ…』
『スタッスタッ』
アリィの部屋に入ってくる人影。
徐々に忍び寄る足音。そして、ベッドの前で立ち止まる。
「はぁ…。はぁ…。」
寝苦しそうな呼吸をするアリィをじっと見つめるミク。
「ふふ。かわいい。」
不適な笑みを浮かべ手を伸ばす。
おい、何すんの?え??
「はっ…!あ、ミク?」
「気分はいかがですか?」
「うん。まだちょっとしんどいかな。」
「熱もありますね。」
そう言っておでこに手を当てる。アリィは珍しく風邪で寝込んでいた。
日中はエリオもいないため家には1人…なのだが、最近同居人が増えた。
ミクはせっせとタオルを変え、着替えと飲み物を用意した。
「じゃ、また。何かあったら遠慮なく言ってくださいね。」
「ありがと。」
『ガチャ』
夕方。
エリオが帰宅。
「あ、お帰りなさい!」
「……。」
ミクと目が合うが、無言で睨む形になる。
この時、エリオは『何か』を感じ取っていた。
「えと、何ですか…?」
「……別に。アリィは?」
「アリィさん、まだ熱が下がらないんですよ。だから、そっとしていてあげてください。」
「甘やかさないでよ。」
「だめです。安静にしてなきゃです。」
「ちっ…。」
不穏な関係。同い年位のミクへ、明らかな敵意を向ける。
『ギィイ…』
『スタッスタッ』
アリィの部屋に入ってくる人影。
徐々に忍び寄る足音。そして、ベッドの前で立ち止まる。
「はぁ…。はぁ…。」
相変わらず寝苦しそうな呼吸をするアリィをじっと見つめるのはエリオ。
「ばか、アリィ…。」
そう言ってベッドに座る。
「エリオちゃん。」
「な…寝てなよ。熱あるんでしょ。」
「うん。」
とろんとした目でエリオを見る。顔も赤みを帯びまだまだ熱がありそうだ。
「好き。ありがと。」
そう言いながらベッドに座るエリオの腰に手を回し、ぎゅっと抱きしめる形になる。
「すぅーはぁー。あぁ。エリオ。いい匂い。」
「何言ってんよ。いつも使ってる洗剤とか石鹸の匂いでしょ。」
「……。」
「ねぇ。ミクって子、いつまでいるの。」
「んー?分かんない。身寄りはないんだ。」
「あいつ。『魔法族』だよ。」
「え?」
「しかも、かなり強い。」
朦朧とする意識がさらに混乱する。
え、なんだって??魔法使えんの??強い?
「そなんだ。」
「だからあんま関わりたく無い。」
「どのくらい強いの?」
「人を…殺せる。少なくともそのくらいの魔力は感じる。アリィは何も感じない?」
「分かんない、なぁー。」
『魔法器』が体内に無いと分からない感覚である。
エリオは何か『ただならぬ気配』を感じ、恐れていた。
『人を殺せる』…果たして本当なのだろうか?
だとしたら、彼女は何者なのか。
「ごめんね。また後で…聞かせ……て。」
「アリィ。手遅れになっちゃうかも。ねぇ!」
『コンコン』
「入りますね。」
「入るな!」
「すいません。タオルと、ちょっとした食事を。」
「いらない!貴様、何者だ!!」
急に声を荒げるエリオ。身震いし、今にも襲いかかりそうだ。
「何…えっと、それが分からなくて。」
「トボけないで。異常なくらいに魔力を感じる。貴様は、素性を隠してるだけ。アリィにも、何かしたんだろ!!」
「そんな、嘘。何もしてません!…私って魔法使えるんですか?」
『魔法使いである』と言われキョトンとするミク。本当の本当に、何も覚えていない。…だよね?
「嘘…吐くなぁ!!」
『シュッ…サッ』
エリオが拳を振り上げ、ミクに向ける。
同時に部屋にあったペンがミクへ飛んでいく。
「きゃっ!」
『ピタッ』とミクに刺さる直前で静止した。
「…はぁ、はぁ。」
息を荒げるミク。
「…何で?そんなに強いのに。何で何もしてこないの?」
「何も、覚えてないないからだよ。」
「アリィさん!」
「……。」
「ごめんねぇ。私は私でほんと頭回んなくて。エリオも悪気はないんだ。」
「えぇ、わかってます!アリィさんは無理せず寝ていてください。」
気まずい空気が流れる。が、エリオが口を開く。
「ちょっと来なさい。」
エリオが、ミクを外に連れ出した。




