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10コメ 謎の少女

「でさ...。」

「はい。」

「なんで、温泉なの?」

テコ入れ回は付き物である。

美少女同士が裸の付き合い。とはいえ、ちゃーんとタオルは巻いてお互いには見えないようになっている。


なぜ温泉に入っているのか。それは非常に単純で難しい質問だ。

てか、この世界にも温泉ってあるんだね。


「いやぁ...この方が自然体でお話できるかなぁと思いまして。」

「嘘だッ!絶対嘘だ!あわよくば私の裸見ようとしてるだろぉ!えっち!!!中身はオッサンじゃないか!!」

『ブクブク』と鼻のあたりまで湯に浸かり、泡を立てる『謎の女』。

てか、お前もオッサンだろ。肉太郎よ。


「本題本題。なんだっけ。」

「はい。」

本当に真面目な話が有ってここへ来た。


「私は、2024年の日本からここへ来ました。」


肉太郎同様、異世界に送り込まれた存在。にわかには信じがたいが、今は案外冷静に話を聞くことができている。


「『御厨隆(みくりやたかし)』と聞いて思い出しますか?」

「御厨...?んー?」

いや、覚えてねぇんかい!


「あ、あぁ!?」

お、思い出したか?


「なんとなく…。」

ダメだこりゃ。ほら、クリニックでお世話になってたでしょ?お医者さん。


「あ、え、マジ?」

「マジです。」

「おぁー!?」

「『熊田さん』お久しぶりです。」

時々思い出すその名前。今はアリィ・エオウィルだが、転生する前は熊田誠太郎と名乗っていた。

見た目は今とまるで違う、豚の化け物のようだった。

そんな御厨が、何故に肉太郎の元へやってきたのか。


「私も、生まれ変わったみたいです。」

「お、おう…。すっごく可愛い、けど…中身はあのヤブ医者?あぁなんか頭おかしくなりそ。」

少なくともヤブ医者ではない。ちゃんとした医師免許を持った開業医だった。そう、『だった』。


「ヤブではないです!!ヤブでは!!気づいたら、この体で。私も混乱してて…何が何だか。」

正直なところ、そんなこと言われてもなぁ…という感想しか出てこないアリィ。

もう『向こうの記憶』も少しずつ消えてきている。やることが多すぎて、イチイチ記憶していられない。


「どうしたら、いいでしょうか。」

「うーん…。とりあえず、生まれ変わった君の正体は…?」

「それが、全く分からないんです。」

「全く?何かあるでしょ。」

「ほんと、何も。」

本当に何も知らない様子だった。思えば、踊り子に来た時も服は着ていたものの無一文。

1回目は無料でいいというアリィの恩情が無ければこの手紙を受け取ることは無かった。

そこからしばらく、無言の時間が続いた。


「そっか。てか、肌すっごく綺麗だね。」

「へ?」

急にアリィが肌に触れる。ほんと急だな!?

今一度確認だが、『キモコメ』おじさんが『キモコメ』おじさんに触っている。


「あとお人形さんみたいなその雰囲気。もしかしてーどっかの国のお姫様だったりしてー!」

「お姫…様?」

「なんちゃってねぇ。」

年齢はアリィより幾分若く見える。エリオと同じか、もう少し下か。

確かにお姫様と言われればそのくらい『大事に』されていそうな雰囲気を醸し出す。いやまさか。


「で、これからどうするの?」

「身寄りは…無いです。ぶくぶくぶく…。」

「ふむ。」

「……。」

「じゃ、ウチに来れば?」

こうなることは薄々分かっていた。同じく転生してきた者同士手を取り合う。そうするしか、この世界で生き延びる術は『今の所』無い。

アリィはラッキーだった。妹や友人、知り合いが失った記憶を補完してくれている。だが彼女は、そういった助けが皆無、アリィだけが頼りだ。


「いいんですか?!」

「そうするしか無いでしょ?あ、家事はやってもらうよ?頭数増えないかなぁと思ってたんだよね!って、えぇ!?泣かないでよ!家事やりたく無い??」

「いや…ちょっと、安心したら…はは。」

「心細いよね。分かるよ。」

ふと、転生初日のことをぼんやり思い出す。とにかく意味が分からなかった。自分が誰で、この世界が何処なのか。妹を名乗る女の子が話しかけてきて、謎の生き物に追いかけられおっぱいは案外邪魔だと解った。


かといって、流石にこの子の人生まで背負うのはアリィには荷が重すぎる。

「自分探し、できる?」

「…はい!」

「ようし!」


『ザバンッバシャバシャ』


急に広い温泉を泳ぐ。しなやかな身のこなしも、肉太郎では不可能だ。


『ザバァン』


濡れた髪を振り乱し、さながら人魚のようなアリィ。

「熊田さん。」

「今は、アリィ。アリィ・エオウィル。」

「アリィ…さん。生まれ変わって、良かったですか?」

「まだ何とも。でも、悪い気はしないね。」

その色気を纏う姿に見惚れる少女。ここぞとばかりに、一言。


「うわ、すっごくえっちだ…。」

「え?なに?」

「なんでもないです…!ブクブク…。」

何度でも繰り返すが、両人とも『キモコメ』に関しては他の追随を許さない。

その才能は、果たしてこの世界で役立つのだろうか。

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